トラックの日常点検とは?チェック項目や流れ、怠った際のペナルティ
公開 : 2024/01/19更新 : 2024/05/27
みなさん、こんにちは! トラック王国の展示場スタッフ、全国 展子(ぜんこく てんこ)と申します!
今回はトラックの日常点検のご紹介です!ブックマーク登録もよろしくお願いします!
「トラックの日常点検の内容は?」「点検を怠った際のペナルティは」
トラックを業務で扱う中で、このように思われたことはありませんか?
今回はトラックの日常点検やチェック項目、怠った際のペナルティなどについてまとめてみました。
日常点検とは?
トラックの日常点検とは、毎日出発前に行うように法律で義務付けられている点検のことで、運行前点検とも呼ばれます。もし、日常点検を怠ってしなければ、万が一トラックが故障していたり、何らかの異常があったりしても見逃してしまい、重大な事故につながってしまう可能性があるのです。
たくさんの荷物を運搬するトラックはもちろんですが、その他にも多くの乗客を乗せるバスやタクシーなども、日常点検が法律で義務付けられています。
日常点検は短時間で終わるため、そこまで手間がかかるものではありません。車両のボルトやナット類が万が一緩んでいれば、それを締め直します。さらに、タイヤの空気圧が低いのであれば、空気を入れるといった作業を行うだけなので、決して難しくはないのです。日常点検は目視や手で触って行うのが基本で、もし、異常を発見したときは、整備工場などに依頼して整備をしてもらうことで、問題を素早く解決できるでしょう。
また、定期点検というものもありますが、日常点検と定期点検との違いは、点検の頻度です。日常点検は名前のとおり、毎日行う必要性があるのに対して、定期点検は一定期間ごとに行います。ですが、その分大がかりになるのが定期点検なのです。トラックのような貨物車両の場合には、日常点検以外にも3か月点検や6か月点検など、定期点検もしなければならないのです。日常点検と違って罰則こそないものの、定期点検はトラックで走行する場合、安全性を高めるためにも必須となります。
ですので、安心安全のために、トラックは日常点検と定期点検をしなければならないということを押さえておいてください。そうしなければ、私たちは安心して外に出ることができず、事故に遭遇してしまうことが考えられるのです。
日常点検を行うべき理由
日常点検を行うべき理由として、先ほどご紹介した安全のためということが主な理由となります。なぜなら、日常点検をしなければ、トラックに何らかの異常があったり、故障したりしていても気づかないまま走行してしまい、大きな事故につながってしまうためです。そうなると、荷物はもちろん駄目になってしまいますし、運転手はもちろん、第三者を死傷させてしまう可能性もあるのです。
そのために、事故防止のためにも日常点検が必要ですし、日常点検をしっかりとしておかなければ、安心してトラックを走行することができません。毎日の点検は面倒、どうせ点検しなくても大丈夫だろうと油断していると、思わぬ重大な事故を起こしてしまうこともあるのです。
ですので、そのようなことが絶対にないように、トラックを走行する前は、毎日必ず日常点検をしなければならないのです。そうすることで、ご自身だけでなく、他の方々の安心にもつながります。
また、事故の防止だけでなく、コスト削減や信用度の向上のためにも、日常点検をしなければならないのです。日常点検で、バッテリーの液量、ブレーキ、タイヤ、エンジンオイル量などを確認しておくことで、少しでも不具合があれば、すぐに対処することができます。それにより、故障整備コスト、燃料コストを引き下げて、コスト削減になるのです。もし、日常点検を怠ると、不具合があっても気づかないため、故障の原因となり、結果的に高くつくのです。点検を万全にしていれば、車両の寿命を延ばすこともできるなど、何かとメリットがあります。
そして、日常点検や定期点検をしっかりと行っている会社ならば、信用度の向上にもつながります。もし、点検をしっかりとしない会社の場合、世間からいい加減な会社だと思われて、信用度が落ち評判を下げてしまうことになるのです。
そう思われないためにも、日常点検と定期点検をしておかなければならないのです。これらをちゃんと行っている会社ならば、信用が向上し、取引してくれる会社が増える可能性が高まるでしょう。
日常点検の流れ
日常点検の流れは、公益社団法人全日本トラック協会「事業用トラックの点検整備ハンドブック」に沿って進めていくことになります。日常点検「チェックポイント21」と題し、人命を守るために行わなければなりません。
また、日常点検を行ったことを他の人に確認してもらうために、点検後には日常点検記録簿に記載する必要があります。日常点検後には、整備管理者や補助者に結果を報告するということも忘れずに行いましょう。
日常点検のチェック項目
点検前に行う項目
トラックの点検前に、まずは前日までの異常箇所をチェックする必要があります。ちゃんと調整、修理ができているかどうか、そして、引き続き異常がないかどうかです。
早く点検を始めたい気持ちはわかりますが、最初に前日までの異常箇所をチェックしておき、丁寧に進めていけるようにしてください。
トラックの周りを一周しながら行う項目
次に、トラックの周りを一周しながら、タイヤの空気圧のチェック、タイヤの亀裂や損傷異状な摩擦がないかどうかを調べましょう。そして、タイヤの溝もチェックし、正常かどうかを確かめてください。残り溝が1.6mmになっていれば、スリップ・サインが現れるため、タイヤの交換をする必要があります。
その後、ディスク・ホイールの取付状態をチェックします。こちらは、車両総重量8トン以上の大型トラックのみです。ホイール・ボルトの折損、ホイール・ナットの緩みがないかをチェックし、点検ハンマでホイール・ナットを叩いて、指に伝わる振動や音の違いに注意しながらチェックしてください。
加えて、冷却水量やブレーキ液量をチェックします。量に問題はないか、水漏れがないかなどをチェック。それが終われが、エア・タンクの凝水(エア・ブレーキのみ)のチェックに移ります。問題がないようであれば、次の作業に進みます。
キャブをティルトして行う項目
次にキャブをティルトして行う項目に移り、まずはエンジン・オイルをチェックしてください。オイルが不足しているようならば、補給します。そして、それが終わればバッテリー液量をチェック。液面がLOWERの線より下にある場合には、補充液あるいは、蒸留水を補給します。こちらが終われば、次にファン・ベルトの張り、損傷をチェックしてください。
ベルトの中央部を指で押し、ベルトのたわみ量が基準値内であるかを確認しましょう。基準値外の場合には調整します。そして、ファン・ベルトに亀裂や損傷がないかを点検し、問題がなければ、次の作業に移ります。
キャブをおろし運転室に座って行う項目
次に、キャブをおろし運転室に座って行う項目へと進みます。パーキング・ブレーキ・レバーの引きしろをチェックします。パーキング・ブレーキ・レバーを戻した状態から静かに引いて、引きしろが多すぎたり少なすぎたりしないか確かめるために、ノッチ音を聞きながら点検してください。レバーの引きしろが規定範囲外ならば、調整します。
それが終われば、次にウインド・ウォッシャの液量・噴射状態をチェック。ウインド・ウォッシャ・タンク内の液量を確認して、少ない場合にはウインド・ウォッシャ液を補給してください。そして、ウォッシャ・スイッチをONにして、正常に作動するか、ウインド・ウォッシャ液の噴射。状態、噴射位置が正常かを確認しましょう。
エンジンを始動して行う項目
上記が終われば、エンジンを始動して行う項目へと移ります。エンジンのかかり具合・異音をチェックし、異状はないか見てみましょう。また、アイドリング回転で異音がないかも併せて点検してください。
次に、エンジンの低速・加速の状態をチェックします。エンジンを暖機させた状態で、アイドリング回転が円滑であるかを点検。そして、エンジンを徐々に加速したときにアクセル・ペダルに引っ掛かりがないか、ノッキングなどがなく、スムーズに回転するかを点検してください。
その後、空気圧の上昇具合(エア・ブレーキのみ)をチェックします。空気圧計でエアの上がり具合をチェック。エア・タンク内のエアをすべて排出した状態にし、アイドリング回転でエア・プレッシャ・ウォーニング・ランプが消灯するまでの時間が規定時間内であれば、正常です。
そして、ランプ類の点灯・点滅状態をチェックします。各スイッチをONにし、各ランプが点灯、点滅するかを点検してください。また、各ランプのレンズに汚れ、損傷がないか、しっかりと取り付けられているかも点検しましょう。
照射方向、明るさに異状がないか、ブレーキ・ペダルを踏んだとき、ストップ・ランプが点灯するかを点検し、問題がなければブレーキ・ペダルの踏みしろ、効き具合をチェックします。ブレーキ・ペダルを踏み込んだときに、ペダルの遊びが適正で異状な引っ掛かりがなくスムーズに作動するか点検してください。効きが十分か、片効きしないかを点検し、安全性を高めましょう。
次は、ブレーキ・チャンバのロッドのストローク、ブレーキ・ドラムとライニングとのすき間をチェックします。規定の空気圧の状態かどうか、補助者にブレーキ・ペダルをいっぱいに踏み込ませて、ロッドのストロークが規定の範囲にあるかをスケールなどによって点検しましょう。
そして、最後チェックポイント21で、ブレーキ・バルブからの異音(エア・ブレーキのみ)を点検します。ブレーキ・ペダルを踏み込みペダルから足を離した際に、ブレーキ・バルブから「プシュ」という排気音がするかどうか、ペダルが完全に戻るかどうかを点検してください。エアの排気音がし、ペダルが完全に戻れば正常な状態です。
日常点検を怠った場合の行政処分
日常点検を怠った場合には、行政処分を受けることになります。これは、道路運送車両法第47条の2に定められているため、日常点検の未実施は法令違反となるのです。これにより、一定期間営業停止処分、車両停止処分を下され、走行することができなくなるのです。そうなると、会社にとってはその期間は収益を得られないという状況になり、損失を被ってしまいます。
また、日常点検をしていない会社と思われるため、社会的信用を失墜してしまうことにつながるのです。そうなれば、取引してくれる会社が減ってしまったり、0になったりすることも十分に考えられるでしょう。安心安全はもちろんですが、自社のことを考えても、法律で義務化されている日常点検は必ずしておかなければならないのです。未実施回数により、数日間~数ヶ月間車両を運行できないことになってしまうため、日常点検を怠ると厳しい行政処分があるということを知っておきましょう。
トラックの日常点検まとめ
ここまで、トラックの日常点検の必要性と定期点検との違い、チェック項目や流れ、日常点検を怠った場合の行政処分などについて解説してきました。トラックを走行する場合、走行前に必ず日常点検を行わなければなりません。これをしなければ、安心安全に走行することができず、重大な事故につながってしまう可能性があるのです。日常点検を怠ると行政処分を受けることになるので、注意してください。また、3か月、6か月ごとなど、定期的に行う必要がある定期点検についても押さえておきましょう。
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