バッテリー液の補充方法って?必要な道具や注意点などご紹介!
公開 : 2017/01/06更新 : 2021/10/11
みなさん、こんにちは! トラック王国の展示場スタッフ、全国 展子(ぜんこく てんこ)と申します!
今回はバッテリー液の補充についてご紹介!「液を補充する方法は?」「補充には何が必要になるの?」といった疑問にお答えします!さらに、補充を行う際の細かいポイントも詳しく解説します!これさえ読めば、バッテリー液の補充についての知識はバッチリ!
バッテリー液の補充準備[バッテリー液の値段と必要なモノ]
バッテリーの中にある液(希硫酸)は、使い続けていると液の量が減ってきてしまいます。
この液が減る理由は、2つ。
- ■バッテリー液の減る理由
- ・液の蒸発
- ・電気分解
1つめの理由である『液の蒸発』は、バッテリーを充電してエンジンルームが高温になることから起こります。蒸発に伴い、少しずつ量も減っていくという流れですね。
2つめの理由『電気分解』は、充電によって水素と酸素の気体に分解されて液量が減る現象のこと。電極の作用によっては、液の減りが少しだけで済む場合が多いです。
これらの理由によって、バッテリー液の量が減ってしまった場合に正しい方法で補充することが必要なのです★
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次の項目からは、補充の際に必要となる道具や、あったほうが良いモノについて確認していきます!
バッテリー液の準備
バッテリー液自体は希硫酸と呼ばれる、硫酸と精製水(または蒸留水)を合わせた液体。精製水の代わりに水道水を足そうとする方もいますが、水道水は基本NGです。
水道水にはナトリウムやカルシウムなどが入っているので、バッテリーの性能を落としてしまうこともあるんですよ…。
蒸発などで少なくなった分だけ精製水で補充を行なえばOKですが、精製水ばかり足しすぎると希硫酸が薄くなってしまいます。
バランス良く高純度に精製された、補充のためのバッテリー液を市販で購入すると良いでしょう。
補充用のバッテリー液を購入!値段は?
補充のためのバッテリー液は1本200円前後で、カーショップなどで販売されています。
1本からのバラ売り以外にも、セットで販売されているものもあるので、予算に応じて購入してみましょう★
バッテリー液→200円前後
また、カーショップなどではバッテリー強化剤という液体も販売されていますが、バッテリーが弱くなっている場合以外は使用しないほうが良いでしょう。
通常状態のバッテリーで強化剤を使用した場合は、内部のセル(電極)を傷めてしまう恐れがあるのです!
さて、バッテリー液を確保したら、補充をスムーズにする道具(モノ)も用意して下さい。
バッテリー液の補充に必要なモノ1:スポイト
バッテリー液を補充する際は、意外なモノが必要になることも。
この意外なモノとは、液の補充量が多かった場合に使うスポイトなのです。
スポイト自体は100円ショップでも購入でき、余分に補充してしまったバッテリー液を抜き出すために使用します◎。
なので、慎重に適量を補充できれば不要ですよ。
バッテリー液の補充に必要なモノ2:バケツ
もしもバッテリー液の補充時に多く入れすぎた場合は、スポイトで吸い取った液を、バケツに出しましょう。
この際はバケツに水を張っておき、作業後に処分してください。
バケツ自体は、100円ショップなどで購入できるもので大丈夫ですよ★
バッテリー液の補充に必要なモノ3:手袋
バッテリー液自体は、希硫酸という硫酸の一種を使っており、これは濃度が35度程度もあるので、取り扱いには注意が必要です!
もしも素手で触ってしまったら早めに手を洗い、その後に痛みなどが発生したら皮膚科を受診しましょう。
また、服に付いてしまったら早めにすすげば大丈夫なこともありますが、穴が開いてしまうこともあります!
このため、液を扱う際は手袋をはめたり、穴が開いても良いような服を着て、充分注意しながら補充しましょう!
バッテリー液の補充に必要なモノ4:ゴーグル
バッテリー液から身を守るために手袋が必要ですが、目を守るためには、市販のゴーグルも購入しておいた方が良いでしょう◎。
「ゴーグルじゃなくて、普段かけているメガネでも良いのでは?」と思う方もいるかと思いますが、メガネでは側面部分から液が入ってしまうこともあるのです!
もしも目の中に液が入ってしまうと、重度の障害や失明に至る恐れもあるので、完全に目の周りを覆うゴーグルを用意した方が良いでしょう!
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意外と用意するモノは多いんじゃな。
- ■さらに、補充時にあると便利な道具(モノ)
- ・コイン
- ・マイナスドライバー
- ・ペンチ
これらの道具は、バッテリー上部のキャップを外す時に使うことがあります。
キャップを指で回せない場合はコインやマイナスドライバーで回したり、さらに固い場合はコインをペンチで挟んだ状態で回すのです◎
さらに補充時の量は必ず「UPPER LEVEL(アッパーレベル)」と書いてある手前までにしておきましょう!
もしもこの線以上に補充してしまうと液が溢れてしまい、金属の劣化や火災の原因となることもあるので、ご注意ください!
バッテリー液の補充方法[確認・注意ポイント]
さて、必要なモノが揃ったら、次は作業を行いましょう★
直前にチェックすべき3ポイントをご紹介していきます!
3つの確認ポイント
バッテリーに補充液を注入する前は、以下の3点を確認してください!!
- ■作業前の確認ポイント
- 1:エンジンが止まっているか
- 2:キーがオフ状態か
- 3:エンジンを止めて時間が経ってから、ボンネットを開けているか
エンジンルームは高温なので、エンジンを切ってある程度の時間を置いておく必要があります。
もしも車両を停めてすぐにそのまま触ってしまうとヤケドしますよ!
また、バッテリー液の容器の中には、液の下限を表す「LOWER LEVEL(ロウワーレベル)」と上限を表す「UPPER LEVEL(アッパーレベル)」という2つの線があり、この線の間に液が残っていないといけません!
バッテリーの容器が半透明になっていれば、横側から残量の確認が簡単にできます。
半透明でない場合は、容器の反対側をライトなどで照らして影をつくり、量を判断しましょう◎!
さらに、この2つの方法で確認できない場合の残量確認方法もあります。
それは容器のキャップを外してから、中に割り箸などの長いモノを入れるという方法。
割り箸がどの部分まで濡れているか確認すれば、残量の目安となるはずです!
- ■残量の確認ポイント
- 1:容器の横側から量を見る
- 2:容器を照らして影から残量を確認する
- 3:割り箸などを入れて、濡れた部分をチェックして確認する
以上のようにエンジンの状態やバッテリー液の残量を確認した上で、補充作業を行いましょう★

【関連記事】エンジンの状態を知るには?
バッテリー液が補充されない場合のリスク
では、バッテリー液の補充を行わずに減ってしまったままでいると、何が起こってしまうのでしょうか?
- ■補充しないと起こる現象
- ・金属部分の劣化
- ・バッテリーの爆発
バッテリー液が本来の量よりも少ないままでいると、金属部分が露出していき、劣化してしまいます。
この劣化が進んでいくと火花が発生します。さらには、バッテリー内部の水素ガスに引火して、爆発してしまうことも…!
また、液の量が少ないと、水素ガスも内部に溜まりやすく、大きな爆発につながってしまうのです!
ちなみに、バッテリーの中にはメンテナンスフリーのタイプもありますが、このタイプですら液不足が原因で爆発した事例があるんですよ…。
内部のパーツが露出して腐食することや、バッテリー内部の溜まったガスに火花が引火することによって、爆発が起きたのです。
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このような危険な事故を防ぐために! バッテリー液の量は、3ヶ月〜6ヶ月に1回はチェックしましょう★
補充の際の注意ポイント
ここまでは補充作業法や、必要な道具などについて確認しましたが、バッテリー液を補充する際の注意ポイントとは、何があるのでしょうか?
まずは、補充作業直前にクリアしておくべき、次の基礎的な4つの注意点をチェック★
- ■補充作業前の基礎注意点
- 1:アクセサリーなどの金属類を外す
- 2:金属工具を接触させない
- 3:火気は消しておく
- 4:液が付着しないようにする
作業を行う前は、金属で出来た時計などのアクセサリーを外しておきましょう◎!
バッテリーのプラス端子とマイナス端子などが、アクセサリーや工具などの金属製品と接触すると、ショートが起こる可能性があります!
ショートが起こってしまうと、最悪、車両火災が発生する可能性も…。
また、作業を行う際に喫煙していても引火する可能性があるので、当然、火気厳禁ですよ!
ドガーン!…なんてね★
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さて、ココまでが補充作業前の基礎的な注意点。 ココからは、作業中に気をつけるべき3つの注意点をご紹介します。
作業中の注意点①フタに付着した水滴に触れない!
バッテリー上部のフタ(キャップ)部分に水滴が付いていたら、ご注意ください!
この水滴は希硫酸という酸の一種。
誤って顔や服にかからないようにしましょう。
もしも目に入ってしまったら失明の恐れもありますし、服にかかると穴が開いてしまうことも…。
このために、ゴーグルなどで身を守る事が必要になるのです◎。
作業中の注意点②6箇所の液面が均等になるように補充する
バッテリーに液を補充する場合は、はじめにバッテリー上部に6つあるフタを開けます。
このフタはネジのような作りになっていて、コインで回せられる溝もあり、反時計回りに回せば緩めることが出来ます◎。
フタを外すことが出来たら、6つある穴のアッパーレベル近くまで、なるべく均等になるように液を補充します。
均等に液を補充しないと、電力が安定しなかったり、寿命が短くなってしまうことも。
- ■6つの穴への補充方法
- ・6つのフタをコインなどで開ける
- ・6つの穴のアッパーレベル付近まで液を均等に注ぐ
また、アッパーレベル以上まで液を補充してしまうと、液がこぼれて周りを腐食させることに…。
液を補充する際は慎重に行う必要があります★
作業中の注意点③アッパーレベルは超えないようにする
補充する際は、量の目安となるアッパーレベルを超えないようにしましょう。
量を確認するコツは、一度注入を終えたらフタを拭いて、再度穴に注入口を入れて、先端部分に液が付いていればそこまでにしておきましょう。
アッパーレベルを確認する方法として、注入口から中を見た際に金属版が歪んでいれば、そこがアッパーレベル。歪んでいなければ、もう少しだけ注ぎ足してみてください◎。
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補充を行う時は、慎重さが必要トラー!
バッテリー液の減少とバッテリー本体の関係[4つの劣化サイン]
そもそも、バッテリー液が減るって、どういう状態だと思います?
実は液量の減少は、バッテリー本体の劣化サインと言えるケースも多いのです!
例えば、液の減り方が6ヶ所でバラバラであったり、たった半年以内に液が減ってしまい、液量が下限を下回るなどのケース。
また、バッテリーの端子の周りに白い粉が付着している場合は、劣化のサインです。
- ■バッテリー劣化を疑うべき4つのサイン
- 1:液の減り方が6ヶ所でバラバラ
- 2:半年以内に液が減る
- 3:液量が下限を下回る
- 4:端子周辺に白い粉が付く
このようなサインたちは、バッテリーの使用開始から2年以上経つと現れやすくなります。 (※もちろん、車両の使い方によって寿命や症状の発生具合は異なりますが)
普段からあまり運転していなかったり短距離の走行が多い場合は、寿命が短くなって、バッテリーの交換頻度も高くなるでしょう。
バッテリーの寿命は、充電や使用をマメに繰り返すことによって低下していき、バッテリー上がりが発生するからです。

【関連記事】バッテリー上がりの原因・理由と4大対処法!
しかし、バッテリーの寿命予想はプロでも難しく、点検だけでは判断できません。
バッテリーは、予想以上に長持ちするモノから、寿命が急に訪れてしまうモノまであるからです。
また、近年はバッテリーの高性能化に伴い劣化サインが現れないまま、エンジンがかからなくなるといったケースも発生してますので、ご注意ください!
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つまり、バッテリーの劣化サインが確認できた場合はもちろん、症状がなくても使用年数2年を超したら点検に出すべきでしょう★
バッテリー本体が劣化していたら補充効果も得られない!
バッテリー自体が劣化している場合は、液を補充しても濃度が薄くなるだけで有効な結果にはなりません。かえってバッテリー上がりやエンジン不調を起こす可能性もあるのですょ…!
整備士さんなどに点検に出して、「バッテリーが劣化して弱くなっているよ」と注意されたら、液の補充よりもバッテリー交換を考えると良いでしょう。
もしくは、補充電と呼ばれる充電器を使ったメンテナンス方法で、古くなったバッテリーの性能を復活させられる手段もあります。どちらが最適か、相談してみましょう!!
本来、バッテリーはこまめに液を補充して大事に扱えば、5年から7年使えることもあるので可愛がってあげてくださいね★
バッテリー液の補充法まとめ
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今回はバッテリー液の補充方法をご紹介しましたが、ご理解頂けたでしょうか?
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バッテリー液の補充は、液を慎重に扱わないといけないんじゃな。
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姫もバッテリー液を補充してみたいトラー!
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補充するときは、液の量に気をつけないといけませんよ!
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タプタプ溢れるまで入れれば、OKトラ?
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(もう一度説明しないといけませんね…)
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