ポールトレーラーの構造・寸法・積載重量・運転法は?全部お答えします!
公開 : 2016/11/11更新 : 2021/12/02
みなさん、こんにちは! トラック王国の展示場スタッフ、全国 展子(ぜんこく てんこ)と申します!
今回は、長い積荷を運ぶのに使われるポールトレーラーについて!「ポールトレーラーの役割や構造は?」「必要な免許や資格は何?」「バックとかカーブとか難しい! 運転注意点やコツを教えて」!そんな悩みやギモンをお持ちの方に応える、ポールトレーラー基礎知識をお送りします★
目次
ポールトレーラーの役割[用途・特徴]
ポールトレーラーは、鉄道車両や鋼管など、通常のトレーラーで運ぶことが難しい、長さのあるものを運ぶ際に使われます!
このポールトレーラーは、けん引を行うトラクターと連結することによって積荷の運搬が出来ます◎。
トレーラー部分は車体の後部に備えられ、荷重のかかる連結部分は第5輪と呼ばれ、荷重はトラクターの構造によって決まっています。
さらに、荷台の長さを伸縮できる構造を持っているため、長さがあって折り曲げることができないものを運べ、40メートル超の積荷でも運搬が可能!
ポールトレーラーは用途が特殊であることから9ナンバーの大型特殊自動車として扱われていますが、大型特殊免許は不要です。
必要な免許は、『大型免許』と『けん引免許』になります。
ちなみに、トレーラー部分は大型貨物自動車にあたるので、高速道路を走行する際は時速80キロまでに規制されています。
国内では、日本トレスクやトーワ自工といったメーカーによって製造されています。
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では、ポールトレーラーの車体構造(寸法・積載量)は、どうなっているのでしょうか? その後は、必要な免許や運転のコツも解いていきますよ!
トレーラーの車体構造[寸法・架台・積載量など]
ポールトレーラーの車体は、トラクターに連結するトレーラーが、ドローバーまたは積載物と連結していて、積載物を車体の一部として扱える車両であり、奴(やっこ)という名称で呼ばれることもあります。
長い積荷を乗せるために、法令で定められた範囲内の長さに変更することが可能で、更に長いモノも運ぶ際は、警察からの許可や基準の緩和を行う必要があります。
トラクター部分は荷台があるタイプと無いタイプに分かれ、トレーラー側は積載物を乗せられるターンテーブルが備えられ、左右も簡単に曲がることができ、内輪差を抑えることも可能!
トレーラーにはステアリングドローバーという棒状のパーツが付いていて、けん引を行うために使用されます。
また、ステアリングドローバーの周りにはエアブレーキ用のホースや、ブレーキやウインカーなどに使う電源用のケーブルが伸びています。
- ポールトレーラー(奴)の構造
- トラクター(荷台あり・荷台なし)
- トレーラー
- ターンテーブル
- ステアリングドローバー
ドローバーが届かない長さの積荷を運ぶ場合は、ターンテーブルを固定した上で、積荷を運びます。
ちなみに、狭い場所での積荷搬入は、ステアリング機能があるポールトレーラーを活用し、作業員が無線で誘導しながら方向を微調整していきます。
この方法を活用すれば、ゴルフ場などそこまで広く無い場所でのポール設置なども可能に!
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ポールトレーラーは意外な所で使われているんじゃなー
長さ・寸法
ポールトレーラーのようなセミトレーラータイプの車両は、連結全長21メートルまでと定められていて、今後は25メートルまで緩和される予定があります。
トレーラーが許可を出さず道路を走行できる長さは、高速道路の場合は16メートルから15メートル、一般道などの場合は長さ12メートルと定められているので、ポールトレーラーのような長尺のトレーラーは、通行許可が必要になります。
この通行許可を得るためには、以下のような書類が必要になります★
- 特殊車両通行許可・認定申請書
- 車両内訳書
- 車両諸元に関する説明書
- 通行経路表
- 通行経路図
- 車検証の写し
- 軌跡図
ポールトレーラーは荷台の長さを超えるような、長い積荷を運搬するために、伸縮できる荷台が採用されています。
さらに、大型かつ不安定な積荷を運ぶ際は、伸縮荷台から動かないように固定しておけば運べます◎!
このような大型の積荷を運ぶ機会が多いため、荷台を特注している業者もいるとか。
架台
ポールトレーラーは架台と言われる台を備え、架台によって鋼管など重く大きな積荷を運ぶことができます。
この架台は、架け渡しのために使う台という役割があって、長い物を運ぶために貨物が架け橋となっています。
また、架台よりも長さのある積荷を運ぶには、伸縮できる架台が使われ、大型かつ安定してないモノも固定すれば運搬可能です!
そのため、細い管など安定感のない積荷を壊すこと無く運ぶことができるようになっています◎。
さらにスタンションという積載物を固定する部品が取り付けられると、長さがないモノをまとめて運搬することも可能に。
- 架台の用途
- 長い積荷の運搬
- 安定感の無い積荷の運搬
- スタンションを使った一斉運搬
ポールトレーラーの架台を使いこなせば、幅や入り口が狭い工事現場などでも、荷降ろしや荷積みが出来るようになりますよ!
このため架台の中には、トラクターの動きに合わせてトレーラーのステアリングを作動できたり、ステアリングをリモートでコントロールして、狭い道にも容易に入れるような工夫が施されているタイプもあります★
積載重量・最大積載量
ポールトレーラーの積載重量や最大積載量は、車検証を確認すれば分かるようになっています!
トラクターの最大積載量は車検証に記入されていて、最大積載量の隣にカッコで覆われている数字が第五輪荷重になります。
このカッコで覆われた数字は、荷物を満載にしたときに連結部のカプラーが耐えられる重さであり、この重さに対応できないといけません。
連結時は他にも様々な要素が必要になりますが、車検証の備考欄に載るトラクターやトレーラーの型式も確認しておきましょう。
もちろん、トレーラーの最大積載量分は積荷を詰めますが、最大積載量以上の重量になると、過積載として取り締まりの対象となるので気をつけましょう!
- 車検証での積載重量記載
- 最大積載量(第五輪荷重)
- 備考欄(トラクターやトレーラーの型式)
また、積荷を積載している時としていない時は輪重差が大きくなり、車重バランスが大きく変わります。
この大きな積載物のなかでも重量のある鉄鋼素材を運ぶ際は、後ろ側から押し上げるような感覚があるので、ブレーキやギヤなどの操作を間違えやすくなっています。
もしもブレーキの操作を間違ってしまうと、ジャックナイフ現象やトレーラースイング現象などが起こり、事故などに繋がってしまうことも…。
さらに車高が自動車の2倍程度高いため、眼精疲労などの疲れの発生、車や歩行者の見落としなどが発生しやすいので、注意しましょう。
連結点の数と位置
ポールトレーラーの連結については、荷台ありかなしによって少しが異なります。
荷台ありのタイプは、トラクターの後部に連結部分であるピントルフックが備えられて、トレーラーの連結部分であるステアリングドローバーと繋がるのです。
トレーラーのステアリングドローバーと繋ぐために使われるピントルフックは、フック状に造られていて、簡単に掛けたり外すことができますよ。
積載物が何もないときには、荷台部分にポールトレーラを乗せて運ぶことも!
また、荷台のないタイプにもピントルフックが取り付けられているので、ステアリングドローバーと繋げることが可能。
しかし、荷台がないためにポールトレーラーを積載することができず、常にけん引する必要があります!
ポールトレーラーの車軸は2軸のタイプが中心ですが、3軸のタイプもあり、このタイプはトレーラーにハンドルが付けられていますが、運転中は徐行しなければいけません★
トラクターの車体構造[荷台アリの場合・ナシの場合]
ポールトレーラーのトラクターは、既に触れたように荷台があるものと無いものに分かれています。
そんな荷台あり・なしの共通項は、連結器によってポールトレーラーを繋いでけん引できることで、この連結器があることが他のトラックとの違いと言えます!
ポールトレーラーに荷台を備えたタイプは構造上、トレーラー前部がカーブを曲がり切れず道からはみ出てしまうことがあります。
この理由は、車輪中心からステアリングドローバーまでの距離が短くなっているためであり、荷役中よりも回送中に起こる現象なのでご注意下さい!
また、積荷を積載している時としていない時は輪重差が大きくなり、車重バランスが大きく変わります。
この大きな積載物のなかでも重量のある鉄鋼素材を運ぶ際は、後ろ側から押し上げるような感覚があるので、ブレーキやギヤなどの操作を間違えやすくなっています。
もしもブレーキの操作を間違ってしまうと、ジャックナイフ現象やトレーラースイング現象などが起こり、事故などに繋がってしまうことも…。
さらに車高が自動車の2倍くらい高いため、車間距離を短く取ってしまったり、眼精疲労などの疲れの発生、車や歩行者の見落としなどが発生しやすいので、注意しましょう。
夜間の運転ではライトが上から下に照らすので、足元はハッキリ見えますが先が見えないこともあるので、歩行者などを見つけにくくなっています。
荷台があるトラクター
荷台があるタイプは、後部にはホースや電気ケーブルなどを備え、平ボディの荷台にターンテーブルを載せているような構造になっています。
このターンテーブル部分は荷台かつ連結部となり、連結部分は切り離すことが出来ないので、積荷を降ろすことによって切り離しとなります。
連結に使用するピントルフックは伸縮可能なステアリングドローバーと接続し、この際前後や上下には荷重が掛からなくなっています。
さらに、エンジンの出力も通常の大型トラックより高く、ラジエーターも備えています。
回送を行う際はポールトレーラー自体をクレーンで荷台に載せて、そのまま運搬することも★
- ■荷台ありトラクターの特徴
- ポールトレーラーを荷台に積める
荷台がないトラクター
荷台がないタイプは、セミトラクターと同様の車両構造となりますが、こちらも車両後部にピントルフックの連結部を備えています。
また、ドリーを装備したタイプは、キャブと第五輪の中間にダミーウェイトを装着していることも。
ターンテーブルは第五輪部分に装着するので、一見セミトレーラーのようにも見えますが、ステアリングドローバーよって内輪差をセミトレーラーよりも少なくすることが可能★
回送の際は、ポールトレーラーを積むことができないので、ステアリングドローバーを固定した上でけん引を行ないます。
ちなみに、新幹線のような車幅が広い鉄道車両の運搬にもポールトレーラーが使われ、船で港に輸送された車両を車両基地まで陸送します。
この陸送の際は橋やトンネルの通行、渋滞を避けるために深夜に行われ、ポールトレーラーの前後に誘導を行う車両がゆっくりついていくそうです!
- ■荷台なしトラクターの特徴
- ポールトレーラーをけん引する
ポールトレーラーに必要な免許・資格[取得条件]
ポールトレーラーに必要な免許や資格は、大型免許やけん引免許が必要です。
車両のトラクター部分は大型自動車として扱われ、トレーラー部分は大型特殊自動車と分類されます。
しかし、大型特殊免許は不要で、大型免許で運転することが出来て、高速道路まで通行できるのです!
この大型免許は車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン未満の車両を運転するのに必要となります。
ポールトレーラーは被けん引車であるためけん引免許も必要で、この免許はポールトレーラー以外にフルトレーラーなどのけん引にも活用できます。
大型免許を取得するには、普通免許や大型特殊免許を取得してから3年以上経過した上で、両目で0.8以上、片目0.5以上の視力と、遠近感を調べる深視力検査が平均2センチ以内でなければいけません。
【関連記事】大型免許取得・更新時の視力検査、不合格の場合は?
けん引免許は、18歳以上で普通、中型、大型免許のいずれかを持ち、大型免許と同じ視力条件を持ち合わせていないと取れません。
- ■ポールトレーラーの必要免許・条件
- 大型免許
- けん引免許
- 両目で0.8以上、片目0.5以上の視力
- 深視力検査平均2センチ以内
しかし、普通免許のみ持っている状態でこの2つの免許を取得するとなると、50万円程度の金額が掛かってしまいます…。
ちなみに、ポールトレーラーの運転を始めると、駐車時のバックなどに苦戦することがあると思います。
展子もまだまだ苦手なんですが、練習を続けていくうちに段々と駐車できるようになってきて、駐車が楽しく感じられるようになりました★
練習のコツとしては、広い場所で練習を続けていって、ハンドル操作が逆になるといった特性を身をもって覚えていくことが大切なのです。
また、練習方法の1つとして、ハンドル操作をパターン化する方法もありますが、道路の状態などによってパターンが通じないことも多くなっています。
なので、理想の駐車場所をイメージしながら、地道に練習を続けた方が良いでしょう!
事故防止!ポールトレーラーの運転注意点[左バック・右バック・カーブ]
さて、いよいよココからはポールトレーラーを運転するコツ・注意点について! 利用者のみなさまからよく挙がる悩みとして、『左バック』『右バック』『カーブ』の3つを解説します!
【関連記事】近田茂解説!トレーラーバック完全ガイド!
注意1:左バック(後進)
左側へのバックを行う際の教習例として、以下の手順があります!
- 1.縁石から60センチ離れた位置で、トレーラー後部をくぼみ部分から2メートル程度離します。
- 2.ハンドルを右方向に1回転切って、そのままバックしていきます。
- 3.バックした状態で120度ほどになったら、ハンドルをまっすぐに戻します。
- 4.さらに150度になる手前でハンドルを左側に1回転、150度になったら左側にハンドルを目一杯切ります。
コツとしては、折りすぎないように意識して行えば、うまくバックできますよ!
注意2:右バック(後進)
右にバックする際は、以下のような流れで車両をバックしてみてください!
基本的には窓から目視しながら駐車しますが、一連の流れに慣れれば、ミラーを見ながらでも出来るようになりますよ。
- 1.車両後部をどこに停めるかイメージしておきます。
- 2.イメージが出来たら、距離をとった状態で車両のヘッドを少し折っておきます。
- 少し折れた状態からヘッドをまっすぐにすると、シャーシが折れてくれます。
- 3.車両をバックさせながらハンドルで微調整していき、ヘッド後輪が白線上に来るよう、ハンドルを右方向に切っていきます。
- 4.後輪をイメージした場所で直線上に合わせれば、まっすぐに駐車することができますよ。
コツとしては、あまりハンドルを回しすぎない、1回転以上させないことを意識すると上手くいくようです。
また、行き詰ったら曲がっている方向とは逆にハンドルを回し、ヘッドとシャーシを直線にしても良いでしょう。
バックの際にシャーシを折る時は、45度までは折ってもシャーシが曲がり、90度まで曲げてもその場で留まりますよ。
注意3:カーブ
カーブを曲がる際は、外側に飛び出す力である遠心力がかかります。
この遠心力は車両重量が重いほど大きくなるので、スピードを出しているとカーブを曲がりきれないことも…。
そのため!カーブを曲がる前にスピードを落としておき、カーブを曲がるときにはブレーキをあまり踏まないようにして走りましょう。
- 1.カーブを曲がる前にスピードを落としておく
- 2.カーブを曲がるときはブレーキをあまり踏まない
- 3.急ブレーキや急ハンドルを行わない
カーブを曲がっている最中の急ブレーキや急ハンドルは、車両がスリップする恐れがあります。
また、右に曲がるカーブの場合は、対向車線側の方が広く見えるので、対向車線にはみ出してしまうことがあり、左に曲がるカーブであれば、自分が走っている車線が広く見えて、スピードを出して曲がりきれないこともあるので注意!
さらに、道幅が狭いカーブだと、大型車両の一部が対向車線にはみ出してしまうこともあるので、センターラインに寄り過ぎないように!
さらに信号機の近くにあるカーブだと、周囲に人や車なども通行しているので、交通状況に気をつけてくださいね。
カーブを曲がりきれないと積荷が倒れてしまい、二次被害が発生することもあるので、くれぐれも慎重に曲がるように心がけましょう。
【関連記事】トレーラーを運転するコツ!
ポールトレーラーのまとめ
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ポールトレーラの構造などについて、ご理解していただけたでしょうか?
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一見同じように見える車両でも、荷台によって違いが出てくるんじゃな。
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私もポールトレーラーを使ってみたいトラー。
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姫は何のためにポールトレーラーを?
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トレーラーいっぱいにお菓子を積んで、王国まで持ち帰るトラー!
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また、食べ物の話ですか…。
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