デリックの特徴って?クレーンとの違いや必要資格(免許)もご紹介!
公開 : 2017/01/05更新 : 2021/09/25
みなさん、こんにちは! トラック王国の展示場スタッフ、全国 展子(ぜんこく てんこ)と申します!
今回の記事は、デリックについて!あまり聞きなれない名前なので「クレーンなの?」「操作に資格(免許)は必要になるの?」といった疑問があるかと思います!また、似たような構造のクレーンとの違いもご紹介!この記事を読めば、デリックの疑問が解消しますよ!
デリックって何?[デリックの特徴]
さて、デリックとは、荷物を持ち上げるために動力を使うタイプの機械です。
このデリックは、ブームの操作とワイヤロープを操作するための原動機が、別々に設置されています!
また、似た外見を持つクレーンと同様に、荷物を持ち上げるために使われますが、どんな部分に違いがあるのか気になりませんか?
さらに、「実際に運転する際には、何か資格は必要なの?」といった疑問も浮かんでくるかと…。
そこで今回は!展子がデリックの特徴や、クレーンとの違いをご紹介!
デリックとは?
では!クレーンとはまた異なるデリックの特徴とは、どんな所にあるのでしょうか?
デリックは原動機の他にマストやブームといった部分を備え、原動機によってワイヤーを操作します。
また、甲板部分にあるウインチによって、荷物を持ち上げることができますよ◎。
デリックは荷を水平に動かせるタイプと動かせないタイプに分かれ、吊り上げができる荷重は0.5トン以上と定められています!
- ■デリックとは
- ・原動機やマスト、ブームを備える
- ・ウインチで荷を巻き上げる
- ・荷を水平に動かせるタイプと、動かせないタイプの2種類ある
- ・吊り上げ荷重は0.5トン以上
クレーンとデリックの違い
デリックの特徴について触れた所で、クレーンとデリックは、どのような部分が特に異なるのでしょうか?
この異なる部分とは!クレーンの場合は、油圧シリンダーやワイヤーなどを使って、荷物を持ち上げるブームを操ります。
一方デリックは、軸部分マストからブームまでワイヤーが張っているので、ウインチで操作しながら荷物を持ち上げられるのです◎!
- ■クレーンとデリックの違い
- クレーン→油圧シリンダーやワイヤーでブームを操る
- デリック→ワイヤーをウインチで操作する
また、クレーンとデリックは全く異なる安全規則が定義されているので、構造以外の部分も異なっていることが分かります。
-
荷物の持ち上げ方などが異なるんじゃな。
デリックの要件
さらに!デリックの要件を挙げると、以下のような条件があります。
- ■デリックの要件
- ・国内に200台程度
- ・揚貨装置運転士資格が必要な場合も
実は!建設現場などで荷を持ち上げるのに使われるクレーンの人気に押されて、現在デリックは国内に200台程度しか存在していません。
また、船の甲板にデリックと同じようなクレーンが設置されている場合もありますが、操作には揚貨装置運転士という資格が必要で、デリックやクレーンとはまた異なるものなのです!
この船上のクレーンは、操作する際に陸とは違うバランス感覚が求められるので、デリックやクレーンと同じように操作すると船が転覆してしまいますよ!!
デリックの分類をご紹介![種類や特徴]
ここまでは、クレーンとデリックの違いに触れてきましたが、デリックの分類についても詳しく見ていきましょう。
実は、デリックには用途や設置場所に応じて、様々な種類が作られているのです!
- ■デリックの種類
- ・ガイデリック
- ・スチフレッグデリック
- ・ジンポールデリック
- ・鳥居型デリック
- ・その他のデリック
以下の項目では、これらのデリックの特徴や、用途について詳しく触れていきたいと思います!
ガイデリック
ガイデリックとは、直立したマスト1本と、根元部分にピンに寄って結合されたブームによって構成されるデリックです。
マストの上部に6本以上のガイロープが備えられ、端をアンカーで固定して、ターンバックルという金具などで緊張させます。
また、巻き上げや起伏、旋回などはマスト下部のシーブから、本体より離れた場所にあるウインチによって操作されます。
さらに、ガイデリックは360度の旋回が可能ですが、ブームを起こすとガイロープをくくるように旋回しないといけないため、マストよりも短いブームが使われるんですよ★
ガイデリックは屋外での機械の組み立てや、材料置き場などで使用されることが多く、設置には広い場所が必要になります。
- ■ガイデリックとは
- ・直立したマストに、6本以上のガイロープが備えられる
- ・ウインチによって操作する
- ・360度旋回可能
- ・機械の組み立てや材料置き場で使用される
スチフレッグデリック
スチフレッグデリックは、1本の直立マストの先端部分に、直角に開いた2本のステーという脚によって、後ろ側から支えています。
マスト部分は、マストよりも長いブームを備え、ピンによって結合しています。
巻き上げや起伏、旋回といった操作が可能ですが、旋回する際は2本のステーにより240度までしか動かせません。
また、ガイデリックに比べて設置に場所をとらず安定感もあることから、重さがある荷を吊り上げる際などに使用されています!
- ■スチフレッグデリックとは
- ・直立したマストに、2本のステーが備えられる
- ・巻き上げや起伏、旋回が可能
- ・240度まで旋回可能
- ・重量物の吊り上げなどに使用される
ジンポールデリック
ジンポールデリックは、マストとガイロープ、ウインチなどから構成されています。
このマストは傾斜していて、3本以上のガイロープによって支えられているので、マスト下部を固定させる際は注意が必要になります。
つまり、ブームを備えていないため、操作は巻き上げのみとなり、水平に動くことができません。
このジンポールデリックは、機械の据付けや組み立ての際など、仮設の設置に使用されています!
- ■ジンポールデリックとは
- ・傾斜したマストに、3本以上のガイロープが備えられる
- ・巻き上げのみ可能
- ・水平に動けない
- ・機械の据付けや組み立てなどに使用される
鳥居型デリック
鳥居型デリックは、マスト2本と上部に結ばれた横はりによって形成される、鳥居のような形をしたデリックです。
鳥居のような本体部分は、ガイロープによって安定感が保たれています。
また、数個のつり具を組み合わせて使うことによって、荷物を巻き上げたり巻き下げることが可能!
そんな鳥居型デリックは、特殊な重量物を持ち上げる際などに大活躍するのですよ◎。
- ■鳥居型デリックとは
- ・マスト2本と横はりによって形成されている
- ・本体部分はガイロープで支えられる
- ・数個のつり具で、巻き上げや巻き下げが可能
- ・特殊な重量物を持ち上げる際などに使用される
その他のデリック(二又デリック)
上記のようなデリック以外にも、二又デリックやタワーデリック、ブレストデリックやAフレームデリックなどが存在します。
この中でも二又デリックは、2本のマストを交差させた上で、2本以上のガイロープによって支えられています。
マストの交差する部分には、巻き上げるためのワイヤーロープやシープが備えられていて、シンプルな構造なのですよ★
- ■二又デリック
- ・2本のマストが交差している
- ・2本以上のガイロープで保たれる
- ・マスト交差部にシープやワイヤロープが備えられる
クレーンとの違い[種類や資格など]
ここまでは、デリックの種類や特徴について触れてきましたが、比較対象としてよく挙げられるクレーンにはどんな特徴があるのでしょうか?
実は国内ではクレーン等安全規則により、以下のような定めがあります。
このような条件を満たす機械の中でも、移動式クレーンやデリック以外のものが、クレーンと位置づけられます!
- ■クレーン等安全規則
- ・動力によって荷をつり上げる(人力によるものは含まれない)
- ・荷を水平に運搬できる機械(人力によるものも含む)
- ・つり上げ荷重が0.5トン以上
つまり、荷のつり上げを動力で行い、荷の水平移動が人力などで行われる機械がクレーンとなるのです。
また、荷を降ろす際は、荷の質量を利用した自由降下や、動力の場合でもどちらでも構いません◎。
では、このような条件をもったクレーンは、どんな種類があるのでしょうか?
クレーンの種類は大きく分けると、以下のように分類できます。
- ●天井クレーン
- 天井クレーンとは、その名の通り建物の天井に設置されたランウェイを走行するクレーンです。
- ランウェイは建物両側の壁に設けられることが多くなっていますが、屋外で走行する同様のクレーンも天井クレーンと呼ばれます。
- また、天井クレーンはトロリー(滑車)の形状によって、クラブトロリ式天井クレーン、ホイスト式天井クレーン、製鋼用天井クレーンに分けられます。
- ●ジブクレーン
- ジブクレーンは、クレーンの腕にあたるジブを持ったタイプを指し、ふ頭でのコンテナ陸揚げや高層ビルの建築などに活用されます。
- このジブクレーンは、形状の違いによって8種類にも分類され、低床ジブクレーンや高脚ジブクレーン、塔形ジブクレーンやポスト形ジブクレーンなどがあります。
- ●橋型クレーン
- 橋型クレーンは、天井クレーンの両端に脚を設けて、レールの上を走行できるようにしたクレーンです。
- 主に屋外で使用され、工場での機械や部品の運搬、ふ頭でのコンテナ陸揚げなどに使われています。
- ●アンローダー
- アンローダーとは、船に積まれた梱包されていない貨物である「ばら積み貨物」を陸揚げする際に使用します。
- ばら積み貨物を受け入れるための、ホッパと機内コンベヤが組み込まれ、貨物を引き込むことが可能です。
- ●ケーブルクレーン
- ケーブルクレーンは2つの塔の間に張ったロープの上を、トロリーが移動するタイプです。
- このロープや塔にも様々なバリエーションがあり、ダムや河川での工事、橋梁の架設といった作業で活躍します。
- ●テルハ
- テルハは、レールに沿って移動しながら、荷物の上げ下げを行います。
- 主に工場や走行の天井に設置され、床上で操作したり、運転室がトロリーに設けられたタイプもあります。
- また、鉄道の荷物を駅舎やホームの間でやりとりできる、跨線(こせん)テルハもかつては活躍していました。
- ●スタッカークレーン
- スタッカークレーンは、ガイドフレームに沿って上下するフォークを持ち、倉庫の棚への荷の出し入れなどに使われます。
- さらに、運転室が荷の上昇とともに動く「スタッカー式クレーン」や、運転室が荷の上昇と共に動かない「荷昇降式スタッカークレーン」にも分類されます。
-
クレーンも色んな場所で活用できますよ!
クレーンの資格とは?
さて、クレーンの種類が様々あることもわかりましたが、実際に運転する際にはどんな資格や条件が必要になるのでしょうか?
実は!クレーンやデリックを運転するには、下記の資格や免許が必要になります!
- ■クレーンやデリックの運転資格免許
- ・クレーン・デリック運転士免許
- ・クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
- ・クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)
さらに、クレーンのフックに荷物を掛けたり外したりする「玉掛け」にも資格が必要となります。
制限荷重やつり上げ荷重が1トン以上のクレーンやデリックなどは、この資格を持っていないと作業ができません!
- ■玉掛けの作業資格
- ・制限荷重やつり上げ荷重が1トン以上のクレーンやデリック
また、クレーンやデリックを運転して業務を行う際は、都道府県の労働局長からの許可などが必要で、中でもつり上げ荷重が5トン以上のクレーンは、クレーン・デリック運転士免許が無いと業務ができません!
- ■クレーンやデリック業務の資格
- ・都道府県の労働局長からの業務免許を受けている
- ・当該業務の技能講習を修了している
- ・厚生労働省令で定める資格を有している
このように、クレーンやデリックは、制限荷重やつり上げ荷重が重くなるほど、必要となる資格が増えてくるのです!
デリックの操作に必要な資格[免許や特別教育など]
では、今回のメインテーマであるデリック操作に必要な資格は、何があるのでしょうか?
地上でデリックを運転する場合は、以下の資格が必要になります。
- ■デリックの地上操作に必要な資格
- つり上げ荷重5トン以上の場合
●クレーン・デリック運転士免許 - つり上げ荷重5トン未満の場合
●デリック運転の業務に係る特別教育
さらに、船の上に設置されたデリックを操作するには、以下のような資格が必要に!
- ■デリックの船上操作に必要な資格
- 制限荷重5トン以上の場合
●揚貨装置運転士免許 - 制限荷重5トン未満の場合
●揚貨装置の運転の業務に係る特別教育
この地上と船上で資格が異なる理由は、船上で操作する場合はバランスが地上と異なるためであり、事故を防ぐためにも内容の違う資格が必要なのですよ★
デリックのまとめ
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デリックの特徴や資格について、ご理解頂けたでしょうか?
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姫もデリックを操作してみたくなったトラー
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こりゃこりゃ、デリックはそう簡単に動かせるもんじゃないぞ。
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部下の誰かに操作させるトラー
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結局人任せですか…。もぉ〜(怒)!!!
→デリック同様、重い荷物を持ち上げるクレーン車は、こちらから購入できます!
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