冷凍車の構造|荷物を低温で運ぶための仕組みと各パーツの詳細は?
公開 : 2024/01/30更新 : 2024/06/14
みなさん、こんにちは! トラック王国の展示場スタッフ、全国 展子(ぜんこく てんこ)と申します!
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トラックの冷凍車の仕組みをご存知ですか?積み荷を冷やして温度管理をしながら運ぶので、走る冷蔵庫!と思いきや実は、加熱の機能も持ち合わせていないとだめなのです。あの-60度のワクチン輸送や、冷やし過ぎてはいけない生鮮食品と商品の輸送も含めて、今回は冷凍車の構造や冷蔵車の架装の仕組みを詳しくご紹介します。
架装メーカーや、冷凍車のパーツを中心にのぞいてみましょう。医療品と一緒に乗せなくてはいけない物とは?ここだけの小ネタも挟んでありますので、是非参考にしてみてください。
冷凍車とは?
冷凍車とは、箱型の荷台の架装バンの中で積み荷が冷やせる機能の付いた車両です。その箱の前方の上部に、冷蔵庫の仕組みのような装備がありその機械によって庫内を冷やすのが冷凍・冷蔵車と呼ばれるトラックです。その一方で保冷車と呼ばれる架装があります。側の造りがアルミの外装で、ぱっと見た感じだとわかりませんが保冷車は、中の積み荷を温度変化が少ない状態で冷たいものを冷たいまま運べるようになっているトラックで、壁面内部に断熱材を挟んでいます。
同じアルミの形状ですが、それに機械が付いているかついていないかで大きく違います。運べるものの温度によって冷凍車、冷蔵車いずれかのトラックが選択されます。大型車は中に仕切りがあり、2部屋に分けることでそれぞれ設定温度を変えて走行することがあります。そうなると、冷凍車の方が運べるものの幅がより広いといえます。
冷凍車(低温車)と冷蔵車(中温車)の違い
次に冷凍車と冷蔵車の違いについてですが、運ぶ積み荷の温度によって冷蔵、冷凍の温度帯が違います。まず0℃を中心に見てみましょう。0度から15度までは、クーリング帯もしくは冷蔵帯と呼ばれ生鮮野菜や生鮮果実などが積み込まれます。これが冷蔵車です。15度から25度までは常温帯と呼ばれ、主に医薬品やチョコレートのようなお菓子、カップラーメン等の積み荷がそれにあたります。
積み荷によってはドライバンと呼ばれる常温で運べる箱物がありますが、夏の暑さで箱の外側が高温になると内部にまで影響がでてしまいます。あまり考えたくはありませんが、チョコレートやグミなどのお菓子が溶けてしまうと品質が悪くなってしまうので、やはり最低でも保冷車の運搬になります。
ここからは冷凍車の分野ですが0度からマイナス5度まではチルド帯と呼ばれ、医薬品、生鮮肉類、乳製品、鮮魚などの運搬に使用されます。マイナス5度以下のものになると約− 30度までの間ですが冷凍魚類、冷凍魚介類、冷凍果実、調理食品(お弁当のおかずや麺類)などがそれに該当します。
最近は、冷凍の調理食品の技術が格段に進歩していますので、お弁当のおかず以外にもうどんやそばの麺類、チャーハンや餃子などのレンチン食品などが人気です。これらの食料品も、コロナウイルス感染防止の緊急事態宣言によりおうち時間が長くなり需要が伸びた分野でもあります。
冷凍食品は、賞味期限を長期間にできるので長期保存に向いていますが、そのほかに低温になると菌の増殖がおさえられるので安全性が高い食料品です。ちなみに食中毒を引き起こす細菌の多くは10℃で増殖が遅くなり、-15℃で増殖停止になります。
冷凍車に使用されるパーツ
コンプレッサー・・・冷媒を圧縮して高温。高圧にしたガスをコンデンサーに送るための機械。
コンデンサー・・・、コンプレッサーより送られてきたガスを外気で冷却して気化。
エバポレーター・・・冷媒液がコンデンサーによって気化して冷たくなったガスを、強制循環させる。
コントロールパネル・・・機械式の冷凍・冷蔵庫の温度管理ができるパネル。温度チェックにサーモスタットを搭載しています。
ターボファン・・・冷却されたガスを庫内へ送る送風機。
スタンバイユニット・・・エンジンを切った状態でも、冷却装置を稼働させるために外部からの電源で補助するシステムがスタンバイユニットです。電源コードを使用して外部電源を供給してもらいコンデンサーを稼働させるので、停車中でも冷却温度を確保できます。積み込み前の予冷や、夜間の保管(積み置き)に便利です。
冷凍車の内部構造の仕組み
機械式
車のエアコンと同じような仕組みです。エアコンガスを利用して庫内の温度を下げます。コントロールパネルで希望の温度に設定できるのが、汎用性の高い機械式の特徴です。
蓄冷式
庫内に冷凍状態の冷却板が装備されており、それにより冷却されます。特に動力も必要としないのでエコな冷却システムです。
直結エンジン式
車のエンジンの動力を使って冷却装置の動力にします。この方式では冷却装置が軽量になるため省エネ効果が期待できます。ですがエンジンを切ると冷却装置も止まるので注意が必要です。
サブエンジン方式
20トンクラスの大型トラックによく見られますが、直結式はエンジンを止めると冷却の機械もストップしてしまいます。これを補うために、架装の下にもう一つ冷却用のサブエンジンを積んでいます。車を動かすエンジンとは別なのでエンジンを切っても冷却装置を止めることなく積み荷を冷却することができます。また車のエンジンに動力を奪われないため冷却用の十分な出力を確保できることもメリットです。
長距離トラック輸送で、休息時間になるとエンジンを止めなければデジタルタコメーターに記録されますがサブエンジンだけ作動していれば、連続して庫内を冷却することが可能です。大型車に多い理由の一つに、エンジンと冷却装置の重量が大きくなり最大積載量の確保が必要になるためです。
窒素式
窒素のボンベを装備し、液体窒素の噴射による気化熱によって箱の中を一気に冷やします。一番簡単な仕組みで、マイナス60度まで冷やすことができるので例のワクチンもこれで輸送されたと考えられます。ですが温度のコントロールが機械式ほど手軽ではなく、高額な液体窒素を補充しなくてはなりません。
冷凍車の外装(荷台)の仕組み
庫内の仕組みはどうなっているのでしょう。冷気の流れをわかりやすく図解にしてみました。
庫内の温度を下げるまでには、架装の大きさによって大変時間がかかるのであらかじめ冷やしておくことがドライバーの常識です。ただ冷気がまんべんなく行き渡るためにも荷物はある程度、隙間がなくてはいけません。特にサーキュレーター(ターボファン)の冷気が出る場所を塞ぐように荷物を積んでしまうと、冷気が滞ってしまい冷蔵庫全体が冷えません。そのため積方や量にも注意が必要です。
循環については、冷気が通りやすくなる庫内の作りになっています。内側の壁に冷気がさえぎられず、全体に通るように、床の構造に秘密があります。床の独特な作りは、エアラインレールや床I型レール構造等と呼ばれ平ではなく凸凹の隙間があることにより前方から後方へ、後方から前方へ効率よく冷気が回る仕組みを作っています。
さらに冷蔵・冷凍車専用の構造としては、アルミの断熱パネルを使用して軽量で作られています。またフレームには断熱樹脂を使っていて、パッキンのような役割をしています。これにより扉を閉めたときなど、隙間が出来て冷気が逃げる事はありません。
代表的な冷凍車のメーカーと価格帯
冷凍車の架装メーカーは、箱モノがトランテックス、日本フルハーフ、極東などで冷凍機はデンソーや菱重コールドチェーンがあります。新車で注文をすると、納期が半年ほどかかってしまいその間にモデルチェンジがあると、前の型のトラックが納車されるケースがあります。
価格帯は各トラックメーカーの価格に準じています。いくつか中古のお値段を調べてみました。三菱ふそうのファイター、増トンワイド低温冷凍車は走行50万km越えで600万円。いすゞギガ、冷凍冷蔵車-30度設定走行47万km、1,100万円。このように新車の場合は家が一軒建つような価格になっています。
特殊な積み荷
積み荷によってはデリケートなものもあります。生花は冷やし過ぎてはいけないので、冷却しすぎないように加熱させて10~15度の温度設定で運びます。最も神経の必要な積み荷は医薬品です。コロナワクチンのように、温度管理を徹底しなくては薬自体がダメになってしまいます。ですのでクライアント(医薬品メーカー)は積み荷の中にこっそりGPS付きのサーモチェッカーを入れて、トラックがどこを通ってどこで渋滞しているかなど順次把握できるようになっています。
なんと温度がちょっとでも上がり始めると、ドライバーさんに直接電話がかかってきて積み荷の温度管理を調節するように指導が入るそうです。ドライバーさんは常にコントロールパネルを見ながら運転していますが、何らかの事情で温度に変化があると薬の品質を保つために連絡が入るようです。
また外箱(段ボール)に傷やへこみがあると弁償などの補償問題に発展します。普通はちょっとくらいと思っていても厳しすぎるのがこの業界の常識なのです。
冷えなくなって来たら
エバポレーターや積み荷が冷えなくなって来たら、通風孔の霜とりをいつしたか思い出してみましょう。気化したガスはドアの開け閉めで、液体になり霜になって吹き出し口をふさぐことがあります。一度温度を上げて霜取りをしましょう。
更に積み荷はどのようになっていますでしょうか?効率よく積んで、きれいにバラ積が終わっても冷気が循環しないほどたくさん積んでは元も子もありません。
あとはターボファンやコンデンサーなどの冷却機械の不具合を考えてみましょう。異音がする、冷却が弱くなったなどそのままにしていては品質低下を招き、ゆくゆくは会社の損失につながる大きな問題へとなりかねません。冷却ガスの補充だけで済むなら話は簡単ですが、荷下ろしの時に箱が水にぬれたように汗をかいていた、アイスが溶けていたなど一気に温度が上がったら大変です。早急に整備工場で原因を探ってもらうことをおすすめします。
トラックの冷蔵車の構造のまとめ
ここまでトラックの冷凍・冷蔵車について細かく調べてみましたがいかがでしたでしょうか?架装の場合、車体の走行キロ数と、使用時間では大きく開きが出ます。年式が古くてもあまり使っていないなら、まだまだ頑張ってくれますが使用頻度が高ければそろそろ寿命かもしれません。冷凍車の調子が悪くなった、メンテナンスに時間がかかるようになったら一度買取金額がいくらになるのか聞いてみるのもおすすめです。
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