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トラック業界に激変の5年間!物流・建設・食品・廃棄物処理…業界ごとの法改正を徹底解説

公開 : 2025/06/24更新 : 2025/06/27

全国展子 みなさん、こんにちは! トラック王国の展示場スタッフ、全国 展子(ぜんこく てんこ)と申します!
直近5年間でトラック業界は様々な法改正が行われています。 抑えておきたい法改正をピックアップしてみました!

はじめに

近年、トラックドライバーの長時間労働問題や人手不足、環境負荷への意識の高まりなど、トラックを取り巻く状況は大きく変化しています。これに伴い、関連する法律も頻繁に改正され、各業界に大きな影響を与えています。

特に2020年から2025年の5年間は、まさに「法改正ラッシュ」と言えるでしょう。本記事では、主にトラックを利用する「物流・運送」「建設」「食品流通」「廃棄物処理」の4つの業界に焦点を当て、この5年間で施行された主な法改正とそのポイントを分かりやすく解説します。

1. 物流・運送業界:ドライバーの働き方と効率化が最重要課題に

物流・運送業界では、長年の課題であったドライバーの労働環境改善と、業界全体の効率化を推進する法改正が目立ちます。

2024年4月1日:トラックドライバーの時間外労働に上限規制が適用開始

通称「2024年問題」として知られる、トラックドライバーへの時間外労働の上限規制(年960時間)が適用されました。

これにより、ドライバーの健康と安全が守られるとともに、長時間労働に頼らない運送事業のあり方が求められています。

2024年5月15日:流通業務総合効率化法(物資流通効率化法)が改正公布

荷主と物流事業者に対し、「物流統括管理者の選任」「中長期計画の策定」が努力義務から義務化されました。

これにより、物流全体の最適化が進み、荷待ち時間の削減輸配送の効率化が促進されることが期待されます。

2025年4月1日:改正貨物自動車運送事業法が施行

この改正により、運送契約時の書面交付義務実運送体制管理簿の作成・保存義務貨物軽自動車安全管理者の選任義務などが新たに設けられます。

さらに、事業許可が終身制から5年更新制に移行し、無許可業者への委託禁止荷主への罰則化も導入されることで、業界全体の適正化が進められます。

2. 建設業界:働き方改革と適正な取引の推進

建設業界でも、労働環境の改善と下請け企業を含めたサプライチェーン全体の適正化が図られています。

2024年4月1日:建設業に「働き方改革関連法」の時間外労働上限規制を適用

物流業界と同様に、建設業においても時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間、特別条項適用時も上限あり)が罰則付きで適用されました。これにより、建設現場の長時間労働是正が本格的に進みます。

2024年度:改正建設業法が成立・施行

この改正では、建設キャリアアップシステムの拡大公共工事設計労務単価の適切設定受発注者を調査する建設Gメン体制の強化、そして価格転嫁の円滑化賃上げ促進ガイドラインの整備などが盛り込まれています。これにより、労働者の処遇改善や、公正な取引環境の構築が目指されます。

 

3. 食品流通業界(冷凍冷蔵輸送を含む):衛生管理の徹底と効率化の両立

食品を扱う業界では、安全性の確保物流の効率化が両輪で推進されています。特に冷凍冷蔵輸送は、温度管理が厳格なため、その影響は大きいでしょう。

2021年6月1日:改正食品衛生法が完全施行、HACCPが義務化

すべての食品事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務化されました。これにより、食品の安全管理体制が強化され、消費者の信頼性向上に寄与しています。また、冷凍・冷蔵倉庫業が営業許可業種から届出業種に再編され、手続きの簡素化が図られました。

2024年5月15日:流通業務総合効率化法改正公布(食品流通関連)

この改正では、賞味期限の年月表示の緩和(一定の条件を満たす場合)が進められ、小口輸送の効率化に貢献します。また、食品流通における中長期計画策定義務化も導入され、食品事故防止と物流効率化の両立が期待されます。

 

4. 廃棄物処理・産業廃棄物運搬業界:透明性の向上と事務負担の軽減

廃棄物処理業界では、不法投棄の防止適正処理の透明化、そして事業者の事務負担軽減に向けた法改正が行われています。

2020年4月1日:廃棄物処理法改正で電子マニフェスト(e-マニフェスト)の登録義務化

一定規模以上の排出事業者に対し、電子マニフェストの利用が義務化されました。これにより、廃棄物の運搬・処分状況がリアルタイムで把握できるようになり、偽装の防止やトレーサビリティの確保が進んでいます。

2023年9月16日:廃掃法施行規則改正でマニフェスト様式見直し

マニフェストの様式が変更され、「受領印」が「受領欄」になり、押印が不要化されるなど、産業廃棄物処分業者の運用負担が軽減されました。

2024年2月13日:一般廃棄物収集運搬業の許可要件省令改正

一般廃棄物収集運搬業の許可要件に関する省令が見直され、特例適用期限などの附則が明確化されました。

2025年4月22日:廃掃法施行規則一部改正公布

処分業者に対し、最終処分完了までの処分方法や量などの報告義務が追加されることが公布されました(施行は2027年4月)。これにより、廃棄物の最終処分まで含めた管理体制が強化されます。

 

まとめ:安全・効率・持続可能性を追求する業界の動き

過去5年間の各業界における法改正は、共通して以下の3つの方向性を示しています。

  • 安全性の向上: ドライバーの労働環境改善や食品の衛生管理強化など、人々の安全を守るための規制が強化されています。
  • 効率化の推進: 物流の最適化や事務手続きの簡素化など、各業務の効率を高める取り組みが進められています。
  • 持続可能性の追求: フロン排出抑制や廃棄物の適正処理など、環境負荷を低減し、持続可能な社会を実現するための動きが加速しています。

これらの法改正は、慢性的なドライバー不足や長時間労働といった業界課題の解決を目指し、トラックが社会インフラとしてさらに機能するための基盤を強化するものです。事業者には、法改正を理解し、適切に対応することが求められます。

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