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ダンプのPTO(パワーテイクオフ)の仕組み|3つの種類を徹底解説!

公開 : 2023/12/19更新 : 2024/04/01

20231219_dump_pto 全国展子 みなさん、こんにちは! トラック王国の展示場スタッフ、全国 展子(ぜんこく てんこ)と申します!
今日はダンプのPTOのご紹介です!ブックマーク登録もよろしくお願いします!

ダンプの仕組みで、荷台を上下させるときに必要な機能PTO(パワーテイクオフ)があります。実はそのPTOは、エンジンやトランスミッションと切っても切れない密接なつながりがあります。

「切らないと使えない?切ると走らない?」「ダンプだけではなく、ミキサー車やユニック、散水車などの特殊架装や大型トラックにも必ずあるPTOですがどれも一緒?」

今回はそんなパターン別PTOについて、違う切り口から徹底的にご紹介します。

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ダンプに使われるPTO(パワーテイクオフ)とは?

 

ダンプの荷台を上げたり、下げたりする時の動力はエンジンから取り出しています。その仕組みがPTO(パワーテイクオフ)と呼ばれる機能です。その機能は、ダンプ以外にも使用されておりミキサー車やユニックなどのクレーン車、消防車などの動力が必要な特殊作業車両に装備されています。

 

その架装への動力を、エンジンからトルクとして取り出すのがPTO(動力取出し)フランジです。エンジンからのトルクは、油圧シリンダーを通してダンプの荷台を上下させます。特にダンプは荷台に、最大で30t近くの土砂を積載することができるものもあります。

KYOKUTOテレスコ式ダンプトレーラー・GVW36tの場合

実際の車両例として、KYOKUTOテレスコ式ダンプトレーラー・GVW36tの例を説明します。

説明をわかりやすくするため、土砂は比重を1とします。このダンプトレーラーの場合は最大積載量が28tとなりますので、荷台を持ち上げるのに最低28t+荷台のあおりの重さ以上の重量を持ち上げる力を必要とします。

 

この土砂が満タンになった状態で、荷台を上げる時には大きな排気量のディーゼルエンジンが活躍します。架装はどのメーカーの車両にも取り付け可能なので、例えばこの車両がいすゞのギガだった場合(エンジン6UZ1-TCS)排気量9,839㏄馬力380㎰トルク185kgのパワーがでます。たった185kg?とあなどるなかれ!さらに油圧シリンダーでパワーが増幅します。

 

これはディーゼルエンジンの最大の特徴で、ガソリンエンジンよりもトルクの性能が大きいのです。ちなみに国産車で3,000㏄のガソリンエンジンは馬力が280㎰あってもトルクが40kgしかありません。いくら油圧シリンダーが有能でも、さすがに限界があります。

 

PTOの仕組み

PTOはどのようにしてエンジンから動力を取り出しているのでしょう?仕組みはものすごく簡単です。

エンジンからの動力はいったんトランスミッションによってギア比を変えタイヤ(駆動軸)へ流れていきます。そのトランスミッションは複数のギアのかたまりですが、もう1個PTO(動力取出し)フランジのギアがあると考える方がわかりやすいと思います。次の図の様に比較的汎用性の高いダンプやユニックなどはトランスミッションから動力を他へ供給しています。PTOフランジは、電車でいうところの切り替えポイントと同じ役割をしています。

ですから、基本的に走行中は、駆動軸へ動力が供給されるので他の用途に使えません。ダンプの荷台を動かすときは車両を停止してから操作するので、エンジンは動いたままPTOフランジの働きで荷台の油圧シリンダーなどへ動力が供給されます。

PTOの操作方法

PTOの操作方法として主に次のパターンがあります。

起動にはスイッチ式とレバー式の2種類があるので、ダンプなどの架装によって使い勝手が違います。電磁クラッチ式はスイッチでオンオフ可能です。ミキサー車は生コンの品質確保に、常時タンクが回転していますが生コンを下ろすと内部や出入り口をすぐに洗車しなければなりません。そのためタンクの回転を止める必要もあるのです。

基本的に運転席にPTOスイッチがあり、停車してからスイッチが入るように設計されています。ギアがパーキングに入っている時や、サイドブレーキがかかっている時などメーカー別やトラックダンプのグレードと仕様によっても操作方法が違います。ユニック車ではPTOきり忘れ警報が鳴る車両もあります。

特に年式が古くなって車両の買い替えなどで、新しい車両を使用するときにはしっかり確認しながら操作しましょう。レバー式はクラッチの操作が必要な車種もあります。いきなり仕事先の現場で、動かないなどのアクシデントが無いように試運転をし、作業前に操作の確認をおすすめします。また走行距離と、架装の使用時間は違うのでメンテナンスは定期的に行いましょう。

PTOの種類

ここでPTOの種類をみてみましょう。架装の違いによってPTOの位置が違います。それはどの程度の動力を、効率よく取出しどこに使うかによって変わります。

トランスミッションサイドPTO

トランスミッションの横にPTOがあり、しっかり車両が停車してから切り替えて油圧シリンダーなどへ動力を供給します。ダンプ、ユニック、高所作業車などの車両で使用します。油圧シリンダーの働きで、ダンプの荷台を上げ下げしたりユニックのブームを伸ばして吊り荷の積み降ろしや高所作業車のアウトリガー伸縮など様々な使い道があります。

車両が停車してからでないと、作動しないような安全設計がなされた車両もあります。アウトリガーも同じで、収縮させてからでないと危険なので警告灯が点灯する車両があります。ダンプやタンクローリー、高所作業車、ユニック車、バキュームカーに装備されています。取り付けが容易で、コスパがいいのが特徴です。国産メーカーの主要トラックのトランスミッションには、架装を想定してPTOを取り付けするための形状にしてあるケースが見受けられます。

フライホイールPTO

エンジンとトランスミッションの間にある、フライホイールPTOはエンジンから直接動力を供給できる仕組みです。これはエンジンからの動力を走行中でも使用するため、クラッチのエンジン側にあるフライホイールに直接PTOフランジが接続しているようなイメージです。

常時安定したトルクが必要となるミキサー車や塵芥車、散水車など、走行しながら動力を必要とする特殊架装に用いられます。ちなみに散水車にはエンジンポンプ付きの架装もありますが、PTO式散水車はシンプルな構造なのでメンテナンス性に優れている特徴があります。

フルパワーPTO(中挟みPTO)

一番動力を必要とする場合にはこの方式がベストです。エンジンとトランスミッションの間にPTOがあり、ミッション側のギアとかみ合わせることでエンジンからの大きな動力を取り出すことが可能です。消防車などの大きな水圧を生み出したり、汚泥吸引の様にパワーを必要とする車両に装備されていますが導入コストが高いことがネックです。

PTOを入れたまま走行すると故障する?

基本的にPTOは走行していると使用できません。ですがPTOの種類で走行時も利用可能にさせている特殊架装があります。それはフライホイールPTOを装備しているミキサー車です。生コンを運ぶミキサー車は、品質管理の必要性から常時タンクを回転させて生コンを流動させるのでエンジンに近い所から、動力を供給する仕組みになっています。塵芥車の様に走行しながらブラシを回転させているタイプや、散水車の様に前方や後方に水を撒きながら走行している車両もありますね。

ダンプやユニック車は、トランスミッションサイドPTOなので走行の動力または、架装への動力かどちらかに切り替えなくてはなりません。万が一スイッチが入ったままだと故障の原因になるので、「PTOのスイッチが入っています」と運転席に警告が出ることがあります。これはヒューマンエラー防止と事故防止、安全性の観点からこのような装備が付いています。特にユニック車はPTOのスイッチを入れてから、アウトリガーを張り出して固定したうえでクレーンを動かし吊り荷の上げ下げをします。どの作業も油圧シリンダーへの動力を必要としますので、PTOも含めてメンテナンスをしましょう。

ダンプといっても、トレーラーダンプ、ダンプトレーラー、テレスコ式ダンプ、大型土砂ダンプ、フラッティゲート付きダンプ、長尺土砂ダンプ、深あおりダンプ、スライドダンプ、ローツインパワーダンプ、三転ダンプ、軽ダンプなど架装によって形状や大きさ操作方法が違います。また架装は違っても、ダンプの車両はUD、三菱ふそう、日野自動車、いすゞ自動車などベース車は変わらないので走行距離や年式によってその都度適切なタイミングの点検整備をおすすめします。

ダンプのPTOまとめ

ここまでダンプのPTOについて、いろいろご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?PTOはダンプのもう一つの心臓部分ですね。

しっかり荷台の動作を支えている部分ですが、もしメンテンナンスに時間がかかったり、部品交換も頻繁になってきたらそろそろ寿命かもしれません。走行距離が長い場合は車両のメンテナンスが必要です。荷台のあおり部分の痛みが気になってきたら、たとえ走行距離が短くてもメンテナンスにコストがかかるかもしれません。

  • 全国展子

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