クレーン付きトラックの寿命と延ばすコツ・法定耐用年数との違いは?
公開 : 2024/01/31更新 : 2024/06/14
みなさん、こんにちは! トラック王国の展示場スタッフ、全国 展子(ぜんこく てんこ)と申します!
今回はクレーン付きトラックの寿命のご紹介です!ブックマーク登録もよろしくお願いします!
クレーン付きトラックをお使いになって何年になりますか?寿命と間違われる法定耐用年数は4年?6年?そんなに短い期間で本当にクレーンの寿命か、トラックの寿命か。状態はいいので、まだまだ使えるのではないかと悩んでいませんか?
今回は、クレーン付きトラックの寿命を延ばすコツを探してみました。実は法定耐用年数と寿命とは同じではありません。どんなふうに使うのがベストなのか、負荷が少ないのか、など!詳しく見てみましょう。
クレーン付きトラックとは
クレーンがついたトラックはユニック車とも呼ばれ、もともと古河ユニック株式会社のトラック架装部分(クレーン部分)の商品名でした。それが一般に普及して、どの会社もユニック車と呼ぶようになったと言われています。
そのユニック車ですがクレーンの形状や、トラックのサイズ、クレーンの設置場所など実に様々な種類があります。運転席と荷台の間に、計器類やツールボックスがありクレーンが取り付けられているタイプをよく見ます。また荷台部分にクレーンがついていて、作業がコンパクトにできるもの(住宅街など狭い場所での作業)や荷台にクレーンの運転席が装備されているタイプ、ブームが折れるタイプ、ブームの先にクレーンゲームのような爪がついているタイプなどありますが、一般的に外見でクレーン付きトラックのくくりになります。一部はトラッククレーンとも呼ばれます。
これらの基本的な特徴として、走行するエンジンの動力をPTO(パワーテイクオフ)で油圧に切り替えてクレーンの動力にします。PTOは作業種類や架装によって3つのタイプを使い分けしています。
トランスミッション式・・・車両のトランスミッションに切り替えスイッチ、レバーがあり停車してクレーンや高所作業車などの動力に変換しています。
フライホイール式・・・トランスミッションに送るエンジンからのトルクを切る時や、ギアを入れてスムーズに繋げるための装置。常に回転しているのでミキサー車などの、終始動力を必要としている特殊車両に採用されています。
中はさみ式・・・エンジンの動力を高いまま使用するため、トランスミッションとの間に設けられているタイプ。ダンプなどの大型の架装や、消防の特殊車両に使用されています。
クレーン付きトラックの場合、トランスミッション式が採用されていて油圧はシリンダーを通してブームの伸縮、クレーンの旋回、アウトリガーの操作など色々な部分に利用されます。このトランスミッション式は車両が完全に停車していなければ動かないように制御されているので、パーキングブレーキと連動したパーキングブレーキロックシステムが装備されたトラックもあります。各社オペレーターのための取り扱いガイドなどにも、PTOはクラッチを離してオンにしましょうと注意書きがあります。
もう一つ、外見での違いといえばクレーンを収納する向きですね。運転席側、荷台側のタイプがあります。どちらが正しくて、どちらかが間違いではありません。メーカーの違いでそのような向きが決められているだけで、クレーンやトラックの性能に優劣はありません。
クレーン付きトラックの積載量は決まっていますが、それは車両の大きさに準じます。小型トラックは2~3.5t車、中型は4~8t車、大型は8~10t車となっています。ただしクレーンの操作資格や、運転免許の種類が関わってきます。
クレーン付きトラックの寿命の目安
主に寿命と呼ばれるのは、トラック(車両として)の年数や走行距離が目安になっています。乗用車では10年で10万キロ(平均1年1万キロ基準とした場合)とよく耳にしますが、トラックではどのくらいが目安になっているのでしょう。ちなみに再販の目安もあります。これを過ぎると査定額が下がっていくので、寿命までしっかり乗りつぶすか資産として価値のあるうちに売るかの判断材料にしてみて下さい。逆に中古のクレーン付きトラックを購入するときの基準にもなりますね。
小型トラック・・・20万キロ。再販目安8~10万キロ
中型トラック・・・40~50万キロ。再販目安20万キロ
大型トラック・・・70~80万キロ。再販目安43万キロ
では、クレーンの寿命は何が基準でしょうか?クレーンはブームやフックを使って荷役の上げ下ろし、積み降ろしをします。すると単純にブームの部分に負荷がかかります。その時にひずみがおこります。木にぶら下がると、枝が重さによって曲がりますよね。それがひずみで、金属も一緒です。それがストレスとなり、同じ部分に同じ負荷がかかると金属疲労の原因になり最悪折損の危険があります。さらに、積み荷が旋回した時に振り子のように揺れたりブームのストロークエンドによるショックがあったりすると、負荷のかかる部分や頻度が変わってきます。
集中コントロールパネルに、アワーゲージ(使用時間計)があれば使用頻度の目安になりますね。クレーンの寿命は使用条件と使用頻度により運転サイクルで表わされます。寿命に影響を及ぼすとされているのが、過重負荷率と機械疲労度でその工業製品として基準となるクレーンの等級はISO(国際等級)JIS(日本の等級)が定めています。
荷重状態・軽(※定格荷重の50%未満の荷を吊る)→最大運転サイクル数・125000
荷重状態・中(定格荷重の50%以上~63%未満の荷を吊る)→最大運転サイクル数・63000
荷重状態・重(定格荷重の63%以上~80%未満の荷を吊る)→最大運転サイクル数・32000
荷重状態・超重(定格荷重の80%以上の荷を吊る)→最大運転サイクル数・16000
※いずれも荷重状態は常態での条件下による
※運転サイクルは吊り荷の地切り直前から次の地切り直前まで
この最大運転サイクル数は荷重状態の軽から超重まで比較すると、なんと8倍!の開きがあることが分かります。これは驚きですね。あくまでもクレーン付きトラックの新車(設計・製造)の基準ですので、これとは別にアウトリガーの使用頻度や、フレーム(旋回ベアリング取り付け部)ポスト(ブーム支柱部)などは個別に目視での点検が必要です。
また大型のクレーンなどでは非破壊検査のひずみ測定によって、余寿命算出が可能です。このようにクレーンの接手だけに負荷がかかっているわけではなく、ブーム、ドラム、ウインチ、アウトリガーなどにも同じく総合的に負荷がかかっています。以上の結果を踏まえると、最大運転サイクル数が使用頻度で決まってくるので毎日の作業か、2~3日ごとか、あるいは冬場は使用頻度が全くないのかによって使用年数またはトラックの寿命(走行距離)とは別物だという事がお分かりいただけたと思います。
クレーン付きトラックの法定耐用年数の計算方法
実は、法定耐用年数と耐用年数(寿命)の違いはずばり経理上の区分けであって資産価値の金額とは意味合いが違います。もし法定耐用年数が寿命だとしたら、中古で販売するときに0円のはずで下取りも0円になってしまいます。もちろん、納得できませんよね。
その資産価値として、クレーン付きトラックの法定耐用年数は4年、5年、6年、10年に分かれます。同じ排気量、同じ総トン数、同じメーカーの同じグレードなのに短いもので4年、長いもので10年となります。どうしてそのような年数の違いが出るのでしょうか?
これは財務諸表上の勘定科目が違うからです。あくまでも経理上の話なので、区分けをすることにより経費として税金の計算が変わってきます。詳しくは国税庁のHPに詳しく説明しています。
人またはモノの運搬を目的とせず、作業場で作業をすることを目的としたトラッククレーンなどは「機械及び装置」に該当します。勘定科目・機械及び装置→4年。クレーン付きトラックが、荷物の運搬として使用される場合は、車両及び運搬具の貨物自動車に該当します。勘定科目・車両運搬具、貨物自動車その他のもの→5年。総合工事用設備としての役割を担う場合は、6年。運輸に付帯するサービス業用設備は10年になります。
どこでどのような業態で使用するかで、このような差が生じます。計算は4年だと、毎年25%ずつ価値が下がります。これは減価償却ともいい、時間とともに価値が下がることを意味します。5年だと毎年20%ずつ下がる計算になります。
また中古車では、新車登録から4年未満かそれ以上で法定耐用年数の算出方法が違います。ですが、計算して2年を下回ると一律2年の法定耐用年数になります。確定申告など税務上の処理をしなくてはいけない場合に、税理士さんに相談するか税務署の係に問い合わせて確実な数字を計上しましょう。ですが、オペレーターさんやドライバーさんには実務的な機械操作の方が重要かもしれませんね。
クレーン付きトラックの寿命を延ばすコツ
こちらではクレーン付きトラックとしてひとまとめにせず、トラックの部分とクレーンの部分に分けて寿命を延ばすコツをご紹介します。トラックは一般的なディーゼルエンジンをベースにしています。
トラック・・・定期的にメンテナンスをする。小型、中型、大型いずれも同じですが乗用車の様に走行キロ数か、経過期間かどちらか早いタイミングで点検をします。始業前点検や、出発時の点検でタイヤ、エンジン、外観、トランスミッション、油圧系統、冷却水の容量など、目視で確認できるところを重点的に点検します。
また、駐車スペースから車両を動かしたとき地面にオイル、冷却水などの液体が落ちていないか確認することも大切です。もし落ちていれば、オイル漏れ、冷却水タンク破損、パッキン劣化などの可能性があります。
山道などの舗装していない悪路を走行した時には、タイヤ関係、サスペンションなど足回りを重点的に点検しましょう。クレーン付きトラックは車両本体も相当な重量があるので、一般的なトラックと違ってサスペンションやトランスミッションにダメージがきます。こまめにチェックしましょう。
急な加速、減速は行わない。走行に関しても注意が必要です。急な加速や急な減速をすると、空荷の時と荷役積載時では車両にかかる負荷が違ってきます。急加速では、エンジンやトランスミッションに大きな負荷がかかるので燃費が悪くなります。特に車両が重たい状態では、アクセルを踏んでもなかなか速度が上がらずにローギアのまま回転数ばかり上がって結果的に燃費に影響が出ます。
逆に急な減速では慣性の法則で、車両が前に進んでいるのを止めようとするのでブレーキに相当な負担がかかってしまいます。荷崩れやスリップの原因になるだけでなく、フェードやペーパーロックなどの現象でブレーキが利かなくなり大型のトラックの場合エアブレーキのエアが無くなる要因にもなります。
クレーン・・・定期的にメンテナンスをする。これはトラックとも同じことが言えますが、定期的にメンテナンスや点検を行うことで機械部分のダメージを目視で確認しブームやアウトリガー、フック、リモコンなどが正しく作動するかどうかをみます。もしどこかに異常がでたり警報装置が作動した場合は、すぐに作業を止めなくてはなりません。機械の不調は思わぬ高額修理に繋がり、修理期間の作業が止まると他の部署への遅れの影響が出るかもしれません。
クレーンを正しく操作する。クレーンは荷役の積み降ろしや、旋回によって大きく負荷がかかり部品が摩耗します。安全に作業するためにもオペレーターは常に、クレーン操作を的確に操作しなければなりません。荷重計でオーバーフローにならないか、計器類をしっかりチェックしながら正しく操作しましょう。急な巻き上げや停止は振り荷の原因にもなり、ひずみやねじれの金属疲労の起因となります。
クレーンの性能に対して、余裕を持つ。クレーンの定格荷重はそれぞれ決まっています。その荷重に対して60%の荷役か80%以上の荷役を吊るかで、最大運転サイクル数が変わってきます。長く使うためにも余裕をもって、吊り荷の重さを調節しましょう。特に高サイクルと言って同じ作業が続くと、同じ場所にダメージがきて作動油の温度が上昇します。バランスを見ながらブームの延ばす長さや、旋回のスピードなどをコントロールしましょう。
ちなみに移動式クレーンでは自主検査を行い、結果を3年間保存しなければなりません。似た様な点検項目が多いので、作業前点検や月次点検の点検表を参考にすることをおすすめします。
クレーン付きトラックの寿命についてのまとめ
クレーン付きトラック(ユニック車)の寿命を詳しく紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか?この記事を確認していただいて、車体やクレーンの寿命を気にしていただけたら幸いです。
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