ロービームで行う車検に通るには?ヘッドライトの検査基準と注意点
公開 : 2024/01/30更新 : 2024/06/13
みなさん、こんにちは! トラック王国の展示場スタッフ、全国 展子(ぜんこく てんこ)と申します!
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あれ?ヘッドライトが暗くなってきた?もしかして車検に通らないかも。そう思ったことはありませんか?車検が近くなると、色々な部分が気になってきますよね。足回りや車両の状態、ライトの状態までしっかり検査基準があります。それは乗用車でもトラックでも一緒です。
今回はヘッドライト、特にロービームと車検の関係にスポットを当ててみました。意外と自分では気にしないヘッドライトですが、対向車のヘッドライトや後続車のヘッドライトが気になるときもあると思います。LEDもしくはHIDに交換して車検は通る?法改正後のヘッドライトの注意点など、知りたいことが分かると思います!
ロービームとは
ヘッドライトの種類はロービームとハイビームがあります。ロービームとはその名の通りロー=低い所に照明部の中心があって前方40mまでを照らす、照射距離が近いライトです。ハイビームはハイ=照明部の中心が高いところにあって、前方100mまでを照らす、照射距離が遠いライトです。
ロービームとハイビームの点灯にはルールがあるのをご存知でしょうか?ここで改めて法律を確認してみましょう。道路交通法第52条では夜間道路にあるときは、法令で定めるところにより、前照灯、車幅灯尾灯その他の灯火を付けなければならないと決められています。
車輛が夜間、他の車両等と行き違う場合または他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれのあるとき、車両等の運転手は、法令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の硬度を減ずる等灯火を操作しなければならない。とあります。
つまり走行する際は、歩行者や対向車がいる時、そして別の車両の後ろを走る時は交通の妨げになる可能性があるので、明るさを抑えましょう。と定義されています。わかりやすく言うと普段はハイビームを使用して、前に車がいたり対向車が来たらロービームにしましょう、という解釈になりますね。
ここでさらに夜間の意味ですが、これを読んでいるドライバーさんはいつヘッドライトを点灯しますか?暗くなってきたから!街灯がついたらそろそろ!ではありません。逆に、太陽が山の向こうに沈んでも明るいからといって、ヘッドライトを付けなくていいとも限りません。厳密には日没から日の出までの間となります。気になる方は新聞にも書いていますし、ネットで調べることも出来ます。
車検にロービームが採用された理由
平成27年(2014年)に法改正があり、車検はロービームでの測定が基準となりました。それまではハイビームが基準となっていたのですが、実際にハイビームで走行する車が少ないことが背景にあると考えられています。また車検を行う自動車検査場に、ロービームの測定器が広まってきたのも要因の一つです。
確かに交通量が多い都市部では、ハイビームで走行する車両はほとんどいませんね。もし対向車や後続車がハイビームだったら、眩しくて目を細めてしまい周囲への安全確認がおろそかになってしまいます。一瞬の油断が時には大事故につながるので、対向車や周囲に配慮してロービームで走るのがマナーとなっています。
罰則にも違いが出てきます。灯火を付けないと罰金5万円以下になりますが、さらに交通事故が絡むと罰金か懲役を科せられることになります。飲酒しているとさらに重い罰則が待っています。
ロービームで行う車検の検査基準
ではロービームで行う検査基準には、どんなチェックポイントあるのでしょうか。まずはヘッドライトの基本を見てみましょう。
光度・・・照明の明るさ。光度測定点はヘッドライトのバルブの位置が1m以下の場合、左23センチ・下11センチ。1mを超える場合、左23センチ・下16センチ
光軸・・・照明の指す方向。
ケルビン・・・明るさの単位、LEDライトの3,000kはケルビンのk。色の温度(数字)が高くなると青くなり、低いと黄色味がかってくる。ハロゲン4,300k。太陽光6,000k
カットオフライン・・・ライトを壁に当てた時にロービームの上方をカットする境界線。
エルボー点・・・カットオフラインの左に立ち上がる角度。日本は左側走行なので、右側の対向車が眩しくならないように左側に若干照明が反れるようにしている
このようにヘッドライドといってもライトの方向や明るさに基準があり、それぞれ一つ一つをチェックしています。特にカットオフラインは重要で、純正のバルブを社外品に変えたときにずれてしまうので気を付けましょう。ずれる理由は取り換えたバルブがLEDかHIDかによっても違います。
HIDとLEDの違い
HIDについて
HID(高輝度放電ランプ)は別名ディスチャージランプやキセノンランプといった呼び方もされます。バルブの中に電極があって、その間に昇圧された電気を放電して光となります。冬に静電気でドアを触るとパチッとしますよね。それのパワーアップバージョンです。設置は難しく、バッテリーからバラスト(安定器)を通してイグナイダー(昇圧装置)へ電気を送り2万ボルトまで電圧を上げます。これをバルブ内で放電して照明になります。
35Wと55Wとありますが明るい分消費電力が大きくなります。バッテリーに負担がかかるので、他の装置のバッテリーが足りなくなることも。寿命は2000時間。LEDより明るく、放電式なので360度照らします。MAXになるまでスイッチを入れてから5秒ほどのタイムラグがあります。色の種類は豊富です。
LED(発光ダイオード)ハロゲンランプと同じように交換が可能。発熱がなく長寿命。環境負荷物質(水銀や鉛など)の含有はありません。さらに目に悪影響のある紫外線や赤外線を、ほとんど含まないため可視光が効率よく得られて、虫が寄ってきません。スイッチを入れるとすぐに点灯します。
LEDについて
LEDの光は直進性が強い性質があります。寿命は40,000時間以上あるので毎日10時間点灯しても約10年もつ計算になります。温度によって色が変わります。色の種類は4,300kの黄色、6,000kの白色、6,850kの青白い色があります。ただし、LEDの条件として7,000kを超えてはいけないとされています。
ロービームで車検を行う時の注意点
純正のヘッドライトは、当たり前ですが純正のバルブに合わせて設計されています。ですので、HIDの様に360度照射するタイプと光の直進性が強いLEDではカットオフラインや光軸がずれてしまいます。光軸は道路運送車両法で定められています。
純正バルブから他のバルブに変更した場合、ずれたカットオフラインを標準に戻さなくてはなりません。ヘッドライトの裏に光軸調整用のボルト、もしくはねじがあるのでそれで調整可能です。調整ねじやボルトは左右それぞれ2カ所あります。一つはリフレクターの左右、一つはリフレクターの上下の調整用です。
まずは純正のバルブでカットラインを確認しておきましょう。車庫などの壁に向かってヘッドライトを点灯します。すると壁にライトの当たる部分と影の部分との境界線が映ります。マニュアルのレベライザーがついている場合は0に戻しておきます。そのうえで、カットライン状のエルボー点(角の部分)へ、テープでくの字を寝かせた様な境界線の形に沿ってマーキングします。
その後にバルブを交換して同じように、ヘッドライトを点灯させます。ずれていたら調節部分を動かしながらテープの形に合わせましょう。この時に光軸調整専用ツールがあると便利です。ドライバーやレンチでも良いのですが、意外と調整部が車種によって奥まったところにあるので作業しにくいかもしれません。
ヘッドライトには2灯式と4灯式があります。2灯式は一本のバルブでハイビームとロービームとを切り替えます。4灯式はハイビームとロービームが左右に独立しています。4灯式ヘッドライトはロービームとハイビームが同時に点灯するため、検査に必要のないヘッドライトをテープや紙などで覆って検査します。自分の車種はどちらか確認しておきましょう。
ハイビームの車検について
平成10年9月1日以降に製造された車両はロービーム測定に合わせてあります。ですが今でもロービームの測定に対応していない試験場があるので、ハイビームでの試験もご紹介します。ハイビームは照明の方向があっていて、2灯式は15,000cd(カンデラ)4灯式は12,000cdあればよく、100m先の障害物が確認できることが条件となっています。
ライトの色が白色と決まっていますが、バルブが白くても黄色っぽく見えて車検が不合格になるケースがあります。光度が足りない理由はヘッドライトのくもりです。洗車の時になかなかヘッドライトだけ磨く姿は、あまり見たことがないですよね。よく見ると経年劣化で少しずつ、ヘッドライトが黄ばんでいるのです。これは紫外線が影響しています。
ヘッドライトがガラスではなくポリカーボネイト(樹脂)でできていると、紫外線が当たり黄ばんだりくすんできます。普段車庫に車を保管している方は、同じ年数でも黄ばみ方が違います。こちらもチェックしておきましょう。専用のクリーナーで一度汚れを落とすことをおすすめします。
ロービームで車検を通るためには
最後にヘッドライトの種類をちょっとご紹介します。ヘッドライトの種類とは2灯式、4灯式とバルブの違いだけではありません。プロジェクター式とリフレクター式があるのをご存知でしたか?
プロジェクターヘッドライト・・・内部で反射した光をレンズに集めて照射する方式。三菱ふそうのスーパーグレードにも一時期採用されていました。
マルチリフレクターヘッドライト・・・多面の反射板を利用して、電球の光源位置に合わせ効率よく照射する方式。リフレクター=反射板。
ロービームの検査で車検を通るには、ライトの位置や照射距離、色など総合的にクリアすると可能になりますが、法改正前の車両かどうか確認が大切です。車検証は登録年が記載されていますが、その隣の初年度登録を見て確認しましょう。
慌てて登録年だけ見ていると、車検の検査基準が違うので車検に通らない可能性も。年式が古いトラックの場合、買い替えた方が車検費用や維持費用がお得になる場合があります。
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