全国のドライバーへ捧ぐ、トラック・バス・重機の最前線メディア

トラック王国ジャーナル

コラム

自動運転の最先端とは?日本モビリティの取り組みについてもご紹介

トラック バス 日本モビリティ 自動運転

公開 : 2021/02/18

self-driving 全国展子 みなさん、こんにちは! トラック王国の展示場スタッフ、全国 展子(ぜんこく てんこ)と申します!
一部の乗用車の部分自動運転機能などで知られている自動運転。この自動運転機能を商用車に活用し、ドライバー不足という課題を解決させる取り組みが行われている事をご存知でしょうか?今回は自動運転の最新事情から、商用車業界での自動運転事情、さらに商用車のドライバー不足を解消させる「日本モビリティ」の取り組みについてご紹介していきます!

業務に使えるトラックはコチラ!

自動運転の最先端とは?

tunnel-truck

▲実用化に向けた実証実験が続けられています

新型コロナウイルス感染症の拡大により仕事の自動化やAIの利用が進み、最先端技術の普及が見られるようになりました。身近な例を挙げると、ルンバなどのお掃除ロボットや、AI搭載型の家電などがありますが、日産のCMなどでおなじみの、車の自動運転も身近になりつつあります。

自動運転には、アメリカ運輸省が定めた0から5までのレベルがあり、乗用車は現在レベル4(特定条件下における完全自動運転)まで到達しています。

自動運転のレベル
レベル0 運転自動化なし・運転者が全ての運転タスクを実施 車両は運転者によって操縦される
レベル1 運転支援・システムが縦方向又は横方向のいずれかの運転制御のサブタスクを限定領域において実行 車両は運転者によって操縦される
レベル2 部分運転自動化・システムが縦方向及び横方向両方の車両運転制御のサブタスクを限定領域において実行 車両は運転者によって操縦される
レベル3 条件付運転自動化・システムが全ての動的運転タスクを限定領域において実行。作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に適切に応答 車両はシステムによって操縦され、困難な場合は運転者が操縦
レベル4 高度運転自動化・システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を限定領域において実行 車両はシステムによって操縦される
レベル5 完全運転自動化・システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を全領域で実行 車両はシステムによって操縦される

レベル4の自動運転車両に関しては、スウェーデンに本拠地を置くボルボ社が、米国ルミナー社のLiDAR(ライダー)というリモートセンサーを搭載したレベル4対応車両を、2022年に販売する予定があります。

日本国内では空港などの閉鎖空間や、高速道路などの自動車専用区間での自動運転普及に向けて、各地で自動車・バス・トラックの実証実験が続けられています。

国内での自動運転実証実験
自動運転タクシー実証実験 株式会社ZMPにより、2018年8月に大手町〜六本木の5km間で実証
小型自動運転バス実証実験 経産省・国交省事業として、2018年度に茨城県日立市の廃線跡のバス専用道で実証
トラック隊列走行実証実験 経産省・国交省事業として、2016年度から新東名高速道路の一部区間にて実証

また、国内で自動運転の公道実験が容易な理由は、政府が東京五輪を予定していた2020年を目処に、高速道路でレベル3、限定エリア内での完全自動運転であるレベル4の実用化を目標にしていたためです。

商用車業界での自動運転動向は?

highway_truck

▲自動運転が商用化されれば、ドライバー不足や業務効率化などの課題解決に繋がります!

国内の商用車業界では、トラックの隊列走行実験が2018年から続けられていて、日本自動車工業会は2021年までに後続車有人隊列走行システムの商業化を目指しています。

また、複数のトラック製造会社により、車間距離制御装置(ACC)を進化させた協調型車間距離維持支援システム(CACC)の開発も進められています。

経産省は、高速道路・幹線道路で自動運転レベル4にあたる、後続車無人隊列走行を2025年から実行させるロードマップを発表しています。自動運転が商業化されれば、ドライバー不足や業務効率化などの課題が、大きく解消されると期待されています。

商用車のドライバー不足を解消させる、日本モビリティについて

nichimo

▲日本モビリティは商用車に関する問題を解決するために設立されました!

日本モビリティは群馬県前橋市を拠点にしているスタートアップ企業で、自動運転の社会実装を目指し研究・開発を進めてきた、群馬大学の小木津(おぎつ)准教授が会長を務める会社です。

日本モビリティはトラックドライバー不足、路線バスの縮小など、商用車に関する問題を解決するために設立されました。日本モビリティという名称は、日本だからこそ成し得る新たな「モビリティ」を全国や世界に普及させ、人類の移動の自由の底上げを牽引することを願って付けられています。

日本モビリティでは、小木津会長の経験やノウハウをもとに、業界初の「無人移動サービス導入プログラム」が構築され、自動運転の社会実装及び無人移動サービスの導入支援、自動運転技術を活用した街づくりを目指しています。

日本モビリティ会長・小木津(おぎつ)様へのQ&A

  • 全国展子

    ここからは、日本モビリティ会長・小木津(おぎつ)様にお話を伺いました!

自動運転研究のきっかけ

トラック王国ジャーナル取材記者

Q1.小木津様が自動運転の研究をはじめたきっかけは何だったのでしょうか?

 

ogitsu

そもそものきっかけは、ヒューマノイド(人型ロボット)と呼ばれるロボットを作りたいという夢を持っていたことです。

 

ogitsu

当時はヒューマノイドを作るための技術が発展途上な状況だったため、車好きも高じて、群馬大学でロボットと車を掛け合わせた自動運転の研究に携わり、現在では企業化するまでに至りました。

 

企業化した理由

トラック王国ジャーナル取材記者

Q2.群馬大学から日本モビリティという企業を立ち上げた理由は何でしょうか?

 

ogitsu

企業化したきっかけは、公道実証実験が出来るように規制緩和が行われたためです。群馬大学は国から公道実証実験拠点に指定され、予算10.4億円が下りたため、予算の全てを試験用の道路や車両などに投資しました。以降、公的研究機関では任意団体に10倍近い差をつけ、全国のべ53カ所で実証実験を行う経験を経て、ブランドになってきました。

 

ogitsu

それに伴い「ドライバー不足や少子高齢化の一部代替手段として、自動運転を活用できないか」という社会からの強い要望があったため、体制的に大学という立場ではなく、会社として立ち上げることになりました。

自動運転は公道で認可が取れる?

トラック王国ジャーナル取材記者

Q3.公道で実験を行う際、自動運転の車両は許可が取れるのでしょうか。

 

ogitsu

実は、日本は公道実験の規制緩和が世界で最も進んでいる国なんです。試験路での安全検証や車検取得、警察などの関係機関への連絡など、必要な手続きを実施すれば、自動運転の車を実証実験として公道で走らせて良いという緩和がされています。すでに首都高やお台場などでは自動運転の実験車が走っているので、皆さんの気づかないところですれ違っているかも知れませんね!

自動運転車両の特徴について

トラック王国ジャーナル取材記者

Q4.日本モビリティの自動運転車両について、特徴を教えてください。

 

ogitsu

日本モビリティの自動運転には「地域限定・路線限定」という特徴があります。今、自動運転の流れは大きく2つに分かれていまして、1つ目は自動車メーカーが製造する自動運転車両で、「あらゆる所で人の代わりに走れる」ことを目指しています。これを実現させるには、高コストで高知能なAI(人工知能)が必要なので、ビジネスになるにはもう少し先になる見通しが立てられています。

 

ogitsu

一方、日本モビリティの自動運転車両はニーズ側の視点から考え、「あらゆる所が走れなくても、例えば、駅から病院だけ結ぶような決まったルートで走らせるだけでも使い勝手が良いのではないか」というご意見からはじまりました。

 

ogitsu

我々の自動運転は「ルートに特化して作り上げ、カーメーカーよりもすごくシンプルな作りで、低コストで作っていく」という構造が強みです。こういった形で、メーカーとの差別化を図っています。決められたルートを走ることになると、自家用車よりも商用車にフォーカスを絞ることになります。

 

ogitsu

自動運転のシステムとしては「遠隔型自動運転」という仕組みを取っています。 遠隔型自動運転は遠隔地にドライバーの代わりになる人がいて、1対Nの構造で複数台でも運用できます。無人のメリットを得つつリスクの分散もしつつ、という構造を開発しています。通常時は自動運転側から連絡来るので返答を行い、緊急時は遠隔で運転できる仕組みも併せて作っています。

ターゲットについて

トラック王国ジャーナル取材記者

Q5.日本モビリティの自動運転車両は、導入先に明確なターゲットがあるのでしょうか?

 

ogitsu

日本モビリティの現在のターゲットは地方の市街地を走る路線バスです。

 

ogitsu

山間部や都市部は自動運転のセンサー的に、投資をつぎ込まないと走りにくい環境で、山間部では夏と冬で景色が変わってくるという点、都市部では人通りが多いという点で、自動運転的には全く別の世界に見えてしまいます。この部分の調整にコストがかかるため、山間部や都市部にいきなり導入することは難しくなってきます。こういった理由から、山間部と都市部の中間が候補地となり、ビジネス的に成り立ちつつ交通も管理されている、地方の市街地がターゲットとなります。

 

ogitsu

そうなると「山間地域の過疎地は見捨てるのか?」と言われるかもしれませんが、自動運転を地方の市街地に入れていけば、そこで運転していたドライバーが山間地域で運転するようになり、役割分担ができるため、交通網は強化していけると思います。

 

ogitsu

自動運転は徐々に成長していき、走れるところが増えていきます。ドライバーは高齢化が進んで減っていき、徐々に自動運転に遷移していく。最終的には過疎地域の人たちを救えるシステムが出来上がっていく。そういったビジョンを描いています。

 

ogitsu

また、今は路線バスのみがターゲットですが、自動運転が今後さらに発展していくと物流トラック、さらにはタクシーといった商用車にもラインナップを広げていきたいと考えています。

今後の展望や目標

トラック王国ジャーナル取材記者

Q6.日本モビリティの自動運転車両について、今後の展望や目標を教えてください。

 

ogitsu

直近の話では、今年度中に群馬県の物流倉庫内で自動運転のトラックを開発する予定があります。これを皮切りに、自動運転できるトラックの種類を増やしていく予定です。このプレスリリースを受けて、物流会社からの問い合わせもいただいております。

 

ogitsu

バスやトラック、タクシーには、2030年くらいまでに自動運転の導入を進め、人材不足解決のお役に立てればと思っています。最終的に全ての車が自動運転になり、当たり前になる世の中を目指しています。

 

ogitsu

将来、商用車に自動運転車両が定着すれば、業務環境に変化をもたらせるのではないかと思っています。自動運転システムは休みなく働いてくれるので、夜間に大量のトラックを走らせることができ、物流にも大きな変化を与えるのではないかと考えています。

 

ogitsu

また、これは仮定の話ですが、ドライバー職の働き方が変わり、航空機のパイロットのような感覚で自動運転車両を在宅管理するお仕事が出てくる可能性もありますよね。もしかしたら、バスの自動運行管理職が、パイロットのように憧れの職業になってくるかも知れませんね。

自動運転まとめ

  • 全国展子

    自動運転の最先端について、ご理解いただけたでしょうか

  • トラック王

    区間を限定した自動運転が実現しそうじゃな

  • トラック姫

    自動運転車両に乗りたいトラ!

  • 全国展子

    姫が乗車するのはまだ難しいと思いますよ

  • トラック姫

    スタッフに操作してもらうトラ!

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterでトラック王国をフォローしよう!
トラック王国からのお得な情報をゲットしよう!
友だち追加