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トラックの重量税とは?基本から最新動向まで徹底解説!

トラックの重量税とは?基本から最新動向まで徹底解説!

物流事業者の皆様にとって、トラックの維持費は常に大きな関心事の一つでしょう。中でも、定期的に発生する「自動車重量税」、特に「トラック重量税」は、運送コストに直結する重要な要素です。

この記事では、トラックの税金の中でも重要なトラック重量税について、基本的な仕組みから最新の税率、さらには2024年以降の動向や将来的な税制改正の展望まで、分かりやすく解説します。運送事業における皆様の事業計画の一助となれば幸いです。

1. 自動車重量税の基本を知ろう

自動車重量税は、文字通りトラックなど車両の重さに応じて課税される国税です。新車登録時や、定期的に実施される「車検」(自動車検査登録制度)の際に、その期間分の税金を一括で納めます。

税金の使途と納税者

この税金は、主に国や地方自治体の道路整備や維持管理のために使われています。納税義務者は、車検証に記載されている車両の所有者です。

課税の主な基準

トラックの重量税計算は、主に以下の4つの要素に基づいて行われます。

車両総重量(積載量+乗車定員+車両本体の重さ): トラックの場合、これが最も重要な基準となります。事業用トラックの場合、0.5トンごとではなく1トンごとに税額が設定されています。

車両の用途: 「事業用トラック」(緑ナンバー)と「自家用」(白ナンバー)で税率が異なり、事業用トラックは自家用に比べて低い税率が適用されます。

車両の年式: 新車登録から13年、18年が経過した車両には、環境性能の観点から、より高い税率が課されます。

環境性能: エコカー減税の対象となる環境性能に優れた車両は、税額が減免されます。

特に事業用トラックの場合、車両総重量と年式が税額を大きく左右するポイントとなるため、ご自身の車両がどの区分に該当するかを確認し、トラックの維持費や運行コストを把握しておくことが重要です。

2. トラック重量税の計算方法と税額の目安(2025年10月現在)

ここからは、具体的なトラック重量税の計算方法と、主要な事業用トラックの税額例を見ていきます。

事業用トラックの車検期間について

事業用トラックの車検有効期間は、車両総重量によって異なります。

自動車重量税は、事業用トラックの場合、車両総重量1トンごとに年間の税額が設定されています。

事業用トラックの年間税率(1トンあたり)

車両総重量(全クラス共通) 標準税率(13年未満) 13年経過車両 18年経過車両
1トンあたり 2,600円 2,700円 2,800円

※8トン以下の車両では、実際の税額表は0.5トン単位で細かく設定されていますが、8トン超の車両は1トン単位で計算されます。

具体的な計算例(1年車検の場合)

以下は、8トン超の事業用トラックの2回目以降の車検(1年分)の税額例です。

トラック区分(車両総重量の例) 標準税率(13年未満) 13年経過車両 18年経過車両
4トントラック (車両総重量4トン) 10,400円 10,800円 11,200円
10トントラック (車両総重量10トン) 26,000円 27,000円 28,000円
20トントラック (車両総重量20トン) 52,000円 54,000円 56,000円

※これらは8トン超の車両における1年分の税額です。8トン未満の車両の場合、初回車検は2年分、2回目以降は1年分の税額となります。

ご覧のように、車両総重量が大きいほど、また年式が古いほど、トラック重量税の負担は増大します。特に、13年や18年を超えた車両をお持ちの場合は、トラックの維持費、ひいては運行コストが上がることを念頭に置く必要があります。

3. エコカー減税でトラックの税負担を軽減!

環境性能に優れた「エコカー」に対しては、自動車重量税の優遇措置である「エコカー減税」が適用されます。この制度は、環境負荷の低い車両の普及を目的としており、トラックもその対象です。現在の制度は、2026年4月30日までの適用が予定されています。トラックの税負担軽減に大きく貢献するエコカー減税は、導入計画の重要な要素となります。

トラックのエコカー減税適用基準

トラックなどの大型車がエコカー減税の対象となるには、「2025年度燃費基準」の達成度や排出ガス基準(例:ポスト・ポスト新長期規制)を満たす必要があります。これらの基準は段階的に厳格化されており、環境性能の高い車両ほど優遇される仕組みです。

減税・免税のレベル(初回車検時)

100%免税:

50%減税:

25%減税:

重要なポイント:エコカー減税の適用期間

基本原則: エコカー減税は、原則として新車登録時(初回車検時)のみ適用されます。2回目以降の車検では、通常の税率が適用されます。

例外: 電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、天然ガス自動車(NGV)については、2026年4月30日までに新車登録した場合、初回車検と2回目車検の両方で免税となります。

例えば、新しい10トンの電気トラックを導入した場合、初回車検時(1年後)の重量税は免税となり0円です。さらに、2回目の車検(2年後)でも免税が継続され0円となります。しかし、3回目の車検(3年後)からは、標準税率に基づいて年間26,000円の重量税を納めることになります。

一方、2025年度燃費基準を達成した通常のディーゼルトラックの場合、初回車検時は減税対象となりますが、2回目の車検からは標準税率が適用されます。

4. 2024-2025年の最新動向と「2024年問題」の影響

近年、物流業界を取り巻く環境は大きく変化しており、トラック重量税に関する政策議論にも影響を及ぼしています。特に注目すべきトラック重量税の最新動向は以下の点です。

A. 令和6・7年度税制改正とエコカー減税の継続

2024年度および2025年度の税制改正により、エコカー減税の枠組みは2026年4月30日まで延長されました。しかし、減税対象となる燃費基準は、2024年1月1日、2025年5月1日と段階的に厳格化されており、メーカーにはさらなる燃費効率の高い車両開発が求められます。

将来的には、2026年以降の税制改正において、ガソリン車やディーゼル車の優遇が段階的に縮小され、電気自動車(EV)トラックや燃料電池自動車(FCV)トラックといった「ゼロエミッション車(ZEV)」へのさらなるシフトが推進される見込みです。

B. 「2024年問題」と税負担軽減への要望

2024年4月1日から適用されたドライバーの時間外労働規制強化、通称「2024年問題」は、物流業界に深刻な影響を及ぼしています。労働コストの増加、ドライバー不足、輸送能力の低下など、多くの課題に直面する中、全日本トラック協会をはじめとする業界団体からは、政府に対してトラック事業者の税負担軽減策が強く要望されています。

具体的には、自動車重量税や燃料税の軽減・一時的な凍結、そして老朽化車両への割増課税(13年・18年超)の廃止などが提言されました。多くの小規模運送事業者では車両の急速な近代化が困難であり、手入れが行き届いた古いトラックを使用している事業者が不公平なペナルティを受けることになるとの主張です。

しかし、2025年後半現在、政府は環境性能へのインセンティブを優先する姿勢を崩しておらず、「2024年問題」に直接対応する形での大幅な税制改正は実現していません。

C. 電動・燃料電池トラックの課題

環境に優しいEVトラックやFCVトラックの導入には、トラック重量税の面でいくつかの特有の課題も存在します。

EVトラックの場合、搭載するバッテリーが重いため、車両総重量が増加しがちです。その結果、初回車検時と2回目車検時はエコカー減税で免税となるものの、3回目以降の車検では、同クラスのディーゼルトラックよりも高いトラック重量税が課される可能性があります。これは、長期的な運行コストや環境負荷軽減へのインセンティブという点で矛盾が生じかねないため、今後の政策議論の対象となっています。

また、電動トラックや燃料電池トラックの車両本体価格が高いことも、多くの物流事業者にとって導入の大きな障壁となっています。

D. 将来的な「走行距離課税」の議論

自動車の電動化が進むと、ガソリンや軽油の消費量が減少し、そこから得られる燃料税収入も減少します。これに対応するため、政府の税制調査会などでは、走行距離に応じて課税する「走行距離課税」の導入が将来的な選択肢として議論されています。

これは、車両の動力源によらず、道路の利用状況に応じて公平に負担を求める考え方ですが、具体的な導入時期や方法は未定であり、今後の動向を注視していく必要があります。

まとめ

この記事では、トラック重量税の基本的な仕組みから最新の税率、エコカー減税の活用法、さらには「2024年問題」や将来的なトラック税制の動向まで、幅広く解説しました。

主要ポイント:

物流事業者の皆様におかれましては、これらの情報を参考に、車両購入やトラックの維持管理、運行コストの計画にお役立ていただければ幸いです。今後も税制改正の動向に注目し、常に最新の情報を把握していくことが重要です。

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